はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

商品としての都市


今回の韓国訪問では、新都市開発の例をいくつか目にした。それらはまさしく「都市」であって、「ニュータウン」などの規模をはるかに超えるものだ。開いた口がふさがらないほどすごいんだよ、ほんとに。入居者はどこから来るのだろうか、住民の年齢構成や属性はいびつにならないんだろうか、将来一斉に老朽化する施設はどうなるんだろうか、不思議なことだらけだ。
しかも、ここもつい数年前まではなんにもない荒れ地だったんだよ。それが、ソウルオリンピック以降韓国市民の憧れであり続けている超高層マンションや超高層オフィスビルがみっちり建ち並んで、未来的なスカイラインを形成している。その手前では、さらなる拡張のために着々とインフラが整備されている。なんというスピードとスケールとパワー。良い悪いは別として、この風景を体験すると、日本の誰もが韓国すげえって感じるだろうな。
少し調べてみると、韓国は政府主導でインフラ、エネルギー、建築、サービス、仕組みといった都市に関わる要素を、まるごとパッケージとして海外に売り込んでいるらしい。顧客はアジア、中東、アフリカあたりらしい。今回見た新都市は、そのショーケースってわけだ。
様々なことが緩やかに減衰している日本にいると、こうした都市開発が心理的抵抗感を伴いながら奇妙に感じてしまう。こうしてリアルな風景を突きつけられても、受け入れがたい夢を見ているようだ。でも、世界的規模で見ると今や当たり前のことなのかもしれないよね。韓国や中国の方々が以前よりも日本を軽視するようになったのは当然のことなんだろうなあと感じた次第。