はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

アールデコの橋


駿河台の「山の上ホテル」火災のニュース映像をチラ見していると、ホテル本館がバリバリのアールデコ建築であることにあらためて気付いた。僕は装飾様式に詳しいわけではないんだけど、アールデコって嫌いじゃないんだよね。どことなく欲望が見え隠れする俗っぽさや生々しい生命力が感じられて、うっかりしているとそそられてしまったりする。
アールデコと言えば世界恐慌以前のニューヨークの摩天楼が有名だけど、1937年に架けられたサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジも放っておけない。この頃はまだ、橋にも装飾することが正当な行為だった時代。実際に近づいてみると、徹底したアールデコっぷりに驚嘆するよ。
そんなことを思い出して、2006年に当地を訪問したときの写真をあらためて見返してみて、やはりうっとりしてしまった。しかし、自分の感情をよくよく観察してみると、装飾よりもプロポーションやロケーションの良さに感激しているようなのだ。つまり、ゴールデンゲートブリッジはもともとスタイルも育ちも良いご令嬢であり、少々オールドスタイルの濃い目のお化粧をしているということだね。そりゃ魅力的だわな、決して手を出したりはしないけど。