先週の土曜日、長野県小谷(おたり)村で開催された「ドボクアート砂防ダム巡りバスツアー」に参加してきた。これがとてつもなくキレキレのツアーで、すっかり興奮しまくってしまった。詳細は、気分次第でまた後日。
ツアー終了後、他の参加者のみなさまと別れて糸魚川に行くためにR147を北上した。長野と新潟の県境のトンネルを抜けると、巨大なフリーフレームが視界に飛び込んできて、慌てて駐車帯に停車した。これほどの規模で補強されている斜面は、見たことがない気がする。よほどの災害があったんだろうと思って調べてみたら、やはり深刻な事態だった。
発端は1995年の「7.11水害」と呼ばれる集中豪雨災害。上記ツアーでそれに関連する砂防事業を大量に見て廻ってきたので、少しは実感を持って接することができる。この写真の撮影地点である蒲原沢(がまはらざわ)でも橋梁の流失などの被害があり、緊急的に防災対策工事が行われた。そして翌年の1996年12月、突如として蒲原沢上流で土石流が発生し、5波に渡って流下して工事現場を直撃し、死者14名、負傷者9名という犠牲者を出す大きな事故が起きてしまった。
写真の斜面はどの段階で崩壊したのかは不明だが、左端が吹き付けコンクリートになっているところを見ると、現在も工事が進められているようだ。犠牲者の慰霊も含めて、再びこの地を訪れる必要があるね。
なお、僕は当時のニュースはぼんやりとしか憶えていない。しかし、これほどの異様な眺めがあることによって、当時の災害をそれなりに意識化することができる。これはひとつの大きな価値だと思う。最近「ダークツーリズム」という言葉が使われはじめているが、真剣に取り組む必要がありそうだ。直接的な被害者は別として、災害や事故や戦争を思い出したくないからと言って忌避するのではなく、失敗経験を次世代に引き継いでいくためにも、様々な観点からアプローチしないとね。ついでに、このブログにおけるダークツーリズム関連のエントリをピックアップしてみる。
砂防階段、近代技術の敗北、暮らしを守るということ、ダッチ土木の執念
チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1
- 作者: 東浩紀,津田大介,開沼博,速水健朗,井出明,新津保建秀,上田洋子,越野剛,服部倫卓,小嶋裕一,徳岡正肇,河尾基
- 出版社/メーカー: ゲンロン
- 発売日: 2013/07/04
- メディア: ?行本-平装
- この商品を含むブログ (50件) を見る