はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

リサイクルトンネル


昨年末、ザハ・ハディドが設計したローマの21世紀美術館「MAXXI」に行ってきた。とんでもなく未来感のある刺激的な建物もすごく面白かったんだけど、たまたま開催されていた「RE-CYCLE」という企画展に出くわした。これは、都市、土木、建築、造園、映像など多岐にわたる領域におけるリノベーションというかコンバージョンの事例を大量に収集した展示だった。工場や採石場やコンテナなど、個人的な好物である産業系の物件も多数含まれていたこともあり、予定していた時間を大幅に超過して閲覧してしまった。ディスプレイのデザインは今ひとつだったけどね。ここでトレントという街に廃トンネルを利用したギャラリーがあるという情報を得たので、レンタカーを飛ばして行ってきた。
このトンネルギャラリーは「Le Gallerie di Piedicastello」という。延長約290mの道路トンネルの上下線がそれぞれ真っ黒と真っ白に塗られている。僕が訪問したときは黒から入って向こう側に抜け、白を通って戻ってくるという順路が設定されていた。ナチスのロシア侵攻、旧ソ連のプロパガンダ、戦時中のトレントに関する企画展が行われていた。ややとっちらかってはいたもののそれなりに気合いの入った展示であったが、なんと入場無料。おそらく地元の方々と思われる来場者が真剣に展示を見ていた。展示内容や設備から察すると、地域学習センターとか生涯学習センターのような性格も持っているんだろうね。
今回もまた土木産業施設活用の好例に接することができた。欧州にはいろんなネタがそこら中にころがっていて、困っちゃうね。