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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

本気の石積風


富山市に合併された旧八尾(やつお)町の今町地区は、地形的にとてもユニークな成り立ちをしている。神通川に合流する井田川とその支流の間の狭隘な河岸段丘に、直線の街路と短冊状の敷地を持つグリッド街区が形成されているのだ。しかも西側は急傾斜地になっており、上の写真のように一見しただけだとちょっと理解しにくい状態になっている。
1960年代後半に急傾斜地の保全事業として石積擁壁が整備され、1990年代後半にその改修としてコンクリート擁壁に置き換えたらしい。その際に、昭和の石積のイメージを踏襲すべく、本物の玉石を表面に貼り付けた「石積風コンクリートパネル」を採用したようなのだ。なお、パネルだけではなく、玉石の野積みの空隙にコンクリートを充填した擁壁もあるようにも見受けられた。
先日参加した富山での会議でこの擁壁の話題がチラリと出て(その時の資料|2004年国土交通大臣表彰「手づくり郷土賞」の解説pdf)、ものすごく気になったので、明日の会議に前乗りして現地を訪れてみたのだ。
いやもう、衝撃的な眺めだよ。まだ自分の頭の中が整理できていないけど、徹底した物量や差し迫った危機への対応に伴うホンモノ感が、「石積風」といったニセモノ感をスポイルして、一貫したなにかが宿っているような迫力を感じた。ちょっとした違和感やモヤモヤ感とともに。街ではすっかり観光資源にもカウントしていて、ライトアップまでするなど結構プッシュしているよ。近くに行くことがあれば、ぜひ訪問することをオススメするよ。このブログでもたびたび取り上げている「ホンモノとニセモノの境界線」(錯綜する材料木目調コンクリートコピー・アンド・ペーソスサイボーグ滝アルミ製木材ほぼ落書き、など)を考えていただきたいな。ちなみに、国交省の資料にあるような「うるおいとやすらぎの斜面空間」は感じられなかったけどね。