はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

歴史的な普通の団地


シュトゥットガルトの丘の上にある集合住宅。ヘタをすると「ダサくて価値なんてないどこにでもある団地」なんて、悪感情を持って見られることもあるだろう。ところがこれは、今につながるモダンな集合住宅の先鞭をつけた重要な建物なのだ。つまり「普通」ってことがすごいのだ。
建てられたのは1927年で、設計者はモダニズム建築の巨匠のひとりであるミース・ファン・デル・ローエ(FBアルバム:Ludwig Mies van der Rohe, Germany, 1886-1969)。ドイツ工作連盟博覧会の住宅展のために建てられた「ヴァイセンホーフ団地」というモデル住宅群の中のひとつである。このエリアにはミース以外にも、ブルーノ・タウト、ヴァルター・グロピウス(FBアルバム:Walter Adolph Georg Gropius, Germany, 1883-1969)、ル・コルビュジエ(FBアルバム:Le Corbusier, Switzerland, 1887-1965)といった錚々たるモダニズム建築家による住宅が建てられ、いまも現役の住宅として利用されている建物も多い。コルビュジエ設計の住宅は博物館として公開されていて、半分が建設当時の姿に復元され、半分が展示スペースになっていたよ。
ところで、最初の同潤会アパートは1926年なので、これらと同世代としての影響があったのだろうけど、端島(軍艦島)の鉄筋コンクリートアパートは1916年というから、世界に先駆けたハイパーモダン建築だったわけだ。すごいな。