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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

近代日本が生まれた穴

資源 素材

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昨日はとてつもなく魅力的な現場を見学させていただいた。それは、茨城県笠間市にある高級御影石「稲田石」の採掘現場。昨日に至るまで、台風の影響で2度ほど見送らざるを得なかっただけに、感激もひとしおである。暑さなどはすっかり忘れて長時間にわたり大興奮してしまったため、見学後の疲労感が尋常ではなかったな。

これまで数々の露天掘り現場を見てきたが(セメントツアー東京は千葉でできている掘削の現場壮麗な彫刻オープンピットマイニングなど)、この現場は他にない雰囲気を持っている。80mもの深さに及ぶ垂直の人工絶壁、かすかな平場に健気に繁茂する植生、御影石の白い地肌と水の流れに沿って表面に付着した黒いカビのコントラスト。これらが相まって、やたらと凄みや秘境感のある光景が生み出されていた。

もちろん一般に公開されているわけではないよ。株式会社想石への取材として、現場を見学させていただいたのだ。この会社の前身である中野組石材工業は、1899(明治32)年創業という。ご案内いただいた時に、ここから産出された石材でつくられた数々の物件の名称を聞き、のけぞった。たとえば、日本橋(1911年)、東京駅(1914年、2012年)、日本銀行北新館(1921年)、国会議事堂(1925年〜)、三井本館(1929年)、勝鬨橋(1937年)、第一生命館(GHQビル、1938年)、東京市電軌道(1948年ほか)、最高裁判所(1966年)、東京証券取引所(1985年)などなど、その他数えきれず。

つまり、近代日本はこの穴から生まれ出たのである。そう思うと、ますます感慨深い穴に見えてくるよねえ。ちなみに、最高裁判所に使用した石材の量は尋常ではなかったらしく、みるみるうちに穴が深くなっていったんだそうな。