はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

インド

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インドという国は、人生観が変わって何度も行きたくなる人か、衛生面や喧噪が全く受け入れられず二度と行きたくなくなる人に二分されるという話を、何度となく聞いていた。その国に、はじめて行ってきた。国際交流基金ニューデリー日本文化センターにて開催されている海外巡回展『構築環境:もう一つの日本ガイド』のオープニンレクチャーに派遣していただくという幸運を得たのだ。本展の内容については、別の機会に触れておかねばね。

インドの印象を二項対立的に扱うのはたいへん乱暴だなあと思っていたのだが、実際に行ってみると、その感覚がわからなくもない。なにしろすっかり魅了されてしまったので。もし僕がそこそこ若い頃にこの国を訪れたら、価値観がガラリと変わったかもしれない。

例えば、自分と社会の関わり方について、日本とはまるで異なるという印象を強く受けた。まだうまく言語化できていないが、自分と他者を完全に分離して捉えている気がする。人がなにをしていてもそんなに興味を持たないし、役割以外の仕事を全くしないし、特に交通においてはパーソナルスペースのような物理的距離が異様に近いし、どこに行ってもやたらと人が多いし。

そんなことをぼんやり思いつつ忖度だらけの日本を振り返ってみると、あの人もきっと同じように考えているに違いないとか、こちらの気持ちを察してほしいとか、あなたのためだからとか、自分の延長線上に他人を置く傾向が強いように思えてならなくなってきた。つまり、自己と他者の境界をあいまいにしながら、他者に過度に期待して要求しているのではないかと。うすうす気付いていたが、結果的に無駄になる余計な仕事を不用意に求めるとか、準備は完璧にできているのに本番のトラブルにはめっぽう弱いとか、設定されているルールを過度に信奉するとか、極めて日本的なんだなあと思うに至った。

まあこの他にもいろんなことを感じた旅だったな。今後もカレーを食べながら、少しずつ考えを進めていこうかね。