はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

見えなかった風景

乱暴な言い方をすると、多くの人は工業の風景が見えない。
なぜなら、多くの人は工業を“悪”として捉えているから。
できるだけ自分から遠ざけたい存在だから。

ところが、少々風向きが変わってきた。
そのきっかけは、『工場萌え』(石井哲、大山顕)の出版。
なんと、発売から3ヶ月で3万部も発行したとのこと。
単なるマニア趣味の域は、完全に脱した数字と捉えて良いだろう。
新聞、雑誌、テレビなどの媒体によって、現在も更にブームが広がっている。

この現象は、なにを示しているのだろう。

おそらく、多くの人は工業の風景への感情を内に秘めていたのだろう。
それが工業の風景も鑑賞の対象になるとわかり、共感が得られたのだろう。
つまり、“悪”の先入観がわずかに薄まったのだろう。

これまで見えなかった風景が見えることは、とても面白い。
しかし、“公害”という負の歴史は、決して忘れてはならない。

工場萌え

工場萌え