はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

やらかしてしまったパリ初日


先週はパリに行ってきた。ちょうど欧州全土は寒波に覆われてしまい、パリもかなり冷え込んだが、各地で起きた交通機関の混乱には幸いにも巻き込まれずに済んだ。しかし、初日は華の都に浮かれてか、いろいろやらかしてしまったので、反省の意味を込めてメモを残しておく。
昼前にアイントホーフェンを出発して経由地のロッテルダムに向かっている最中、忘れ物に気がついた。なにかと便利な高倍率ズームレンズを持ってくるのを忘れてしまったのだ。記録を取ることがこの旅の重要な目的だというのに、なんたる失態。まあ広角ズームレンズがあるので何とかなるだろうとあきらめた。
ロッテルダムから赤い新幹線タリスに乗って、夕方にパリ北駅に到着した。タリスは期待していたほどには乗り心地がよくなくて、少々がっかり。しかし、もっとがっかりしたのはメトロに乗って凱旋門のそばのホテルまで移動している最中。GPSロガーをタリスの車窓に置きっぱなしにしてきてしまったのだ。欧州各地の移動ログを取りまくるつもりでいたのに、それができなくなってしまった。これはいたい。
意気消沈していたものの、無事にホテルにたどり着き、チェックインを済ませて外出。凱旋門とシャンゼリゼ通りの夜景を見物した後に、フレンチのレストランで食事をした。絵に描いたような観光である。僕もやればできるじゃん。しかし、後で気がついたんだけど、そのレストランでは高額なチップを払わせられていた。なんてこった。
その後、次のメトロの駅まで行くつもりでシャンゼリゼ通りを歩いたら、うっかりコンコルド広場まで来てしまった。おそらくマイナス3度くらいの寒空だったが、酔っぱらって気が大きくなっていたのだろう。ついもっと行けると思ってしまい、セーヌ川に架かるLéopold-Sédar-Senghor歩道橋へ。この橋は以前ソルフェリーノ橋という名前だったのにいつの間にか変わっていた。しかも憶えにくい名前に。そして、興奮しながら夜景撮影を始めてしまった。それが上の写真。
ふと気がつくと12時にさしかかっていた。もちろん帰り方はノープラン。最寄りの駅もわからない。焦ってメトロのマップを取り出し、少し離れた駅からなら乗り換え1回で行けると踏んで、やや道に迷いながらもなんとかメトロに乗り込んだ。
乗り換え駅で目的の路線の車両に乗り込み、ほっと一安心していたところで、なにやら不穏な空気が流れてきた。なにを言っているのかわからないアナウンスとともに、乗っていた乗客が次々とふてくされて足早に降りてゆく。その様子から、この電車がこの駅から動かないことだけは理解できた。
困惑しながらも係員に地図を示し、ここに行きたいんだと日本語で言うと、うーんと考えた後、フランス語でまずこの駅に行け、そしてこれに乗り換えろと言った(のだと思う)。かなり遠回りのルートだが、もはや彼を信じるしかない。かなりどきどきしながらも、やっとの事で凱旋門に帰ってきて、なんとかホテルにたどり着くことができた。
冷え切った体を温めるため、湯船につかろうと準備しはじめたのだが、いっこうにお湯がたまらない。よくバスタブを調べてみると、排水口が壊れていてお湯を入れたそばから流れ出していっていた。試行錯誤の結果、足で排水口を押さえながら入浴したので、より疲れてしまった。
これで初日が終了と思いきや、ベッドに入って驚いた。ベッドから足がはみ出してしまうのだ。普通のベッドよりも2周りくらい小さいサイズのようだ。オランダ人が寝るときはどうするんだろう。がっかりしながら眠りについた。
このように初っぱなからトラブルを生じさせてしまったのだが、その後の旅は順調だったよ。普通のパリ観光にドボク的要素を加えるプランも成功して、個人的には大満足だった。おいしい食事をいただいたし、パリ管のストラビンスキーも聴けたしね。また来るよ、パリ。もう少しあたたかい時期に。