はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

デザインのスタンス


新進気鋭の構造設計家ローラン・ネイを中心とするチームが手がけた、ブリュッセル郊外に2001年に架けられたTervuren歩道橋。道路を跨ぐ高い位置の遊歩道橋と、トラムの停車場がある下の歩道のための横断歩道橋の2つの役割を持っている。
複雑な動線を持つにもかかわらず、形の成り立ちは非常に明快で、ディテールも含めてきれいにまとまっている。二等辺三角形の断面を持つ長い板の中心軸に切れ目を入れて、その一方の両端をぐっと下げることでアーチを形成するというアイデア。構造的にはねじりが生じて不利になると思うのだけど、それよりも4カ所の歩行動線を接続する利便性を優先したようだ。
構造設計という観点だけではこの橋は生まれなかったろうね。ユーザーの観点もパラメータに含めた複雑な問いを設定して、その最適解を導き出すという姿勢があるからこそ生まれた形だ。これってデザインの基本的な姿勢だと思う。それが感じられる構造物に触れるのは、とても気分がいいね。
しかし、汚れが非常に気になった。上を向く面は水を受けるので汚れやすいという基本的な部分もしっかり押さえなければならないな。