スイスの構造設計家のクリスチャン・メンがデザインしたズンニベルク橋。橋梁ファンはマイヤールのサルギナトーベル橋の巡礼とセットで訪れる橋だ。床版から上のケーブルの位置がとても低いのでエクストラドーズド形式にも思えるけど、どうなんだろうか。ぺらぺらに見えるほど薄い桁にはケーブルがしっかり定着されている。
薄い桁は一定のカーブを描いており、水平方向の力に抵抗するアーチのような役割を果たしているという。その桁の薄さもすごいが、4つのタワーというか橋脚の細さもすごい。栄養が行き届いていないんじゃないかと思うくらいの足の細さだ。でもその不健康さこの橋のキモだ。
寒暖の差が激しいこの地域での長大橋梁は、構造物の内部に発生する温度変化による莫大なエネルギーが問題になる。この橋は、コンクリートでガチガチに拘束して、ピンポイントで力を逃がそうという発想ではない。薄くて細い柔軟なコンクリートが、夏はカーブの外側に、冬は内側になんとなく変形することで、温度変化のエネルギーを吸収しているのだそうな。それによって、基礎も小さく済むというから、いろいろおいしいのだ。
やはりダイエットって健康にいいという本質は無視できないねえと突きつけられる事例だね。