はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

おとしぶた

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本日、札幌を出発して羽田に着陸する飛行機は、D滑走路に降り立った。その前に、僕が座っていた機体の左側に、京葉コンビナートの眺めが広がっていた。この埋立地は近づいて眺められるポイントがとても少ないので、ちょっと興奮してしまった。

原油タンクの上面は、空気に触れて揮発しないように「浮屋根(フローティングルーフ)」になっていることが確認できる。全部ではない理由はわからないけど。ずいぶん前にこのコンビナートの製油所の方から、海側から原材料を調達して、陸側に向かって精製のプロセスが進んでいくという話を聞いたことがあるが、その通りのレイアウトになっていることが確認できた。

かげのカーブ

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昨年の札幌訪問時に少し時間が空いたので、サイクルシェアリング「ポロクル」を利用して、かつて自分が設計に関わった「北郷通こ線橋」を数年ぶりに見に行った。

桁下に自転車を止めて周囲を歩くと、すぐに側道上空をスパイラル状に跨ぐスロープが落とす影に気がついた。カーブを描く桁の陰と影が、高低差も相まって不思議な空間を生み出し、高欄の隙間からこぼれた光がそれを補強しているではないか。おお、これはすてきだ、我ながら。

しかし正直なところ、この橋をデザインをしていたときには全く予想していなかったのだ。設計者の意図と鑑賞者の視点が相互に絡み合ってようやく目の前の眺めに意味が出てくるなんてことを、極めて自己完結的かつ自己満足的な状況で実感した。

 

 

レガシー

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「レガシー」という言葉はスバルのレガシィが真っ先に思い浮かぶこともあり、オリンピックなどの文脈で使ったことはない。まあその前に、なんとなくではあるけれど、個人的には「遺産」のイメージが先行してしまうので、現役施設に適用することをためらっちゃうんだろうな。現役の土木構造物に対して「近代化土木遺産」と言ってしまう(言わざるを得ない)違和感と同じようなもんかなあ。

それはそうと、やはりオリンピックってのは時代を前に進める効果は確実にあったのだと思う。先日示したローマの施設しかり、代々木の体育館しかり。これらが今もリスペクトの気持ちが込められながら現役で使われていることは、最大の価値だと思う。代々木はあらためて見に行かなきゃと思い続けて、もう何年経っちゃったのだろうか。

上の写真は先日載ったセスナ機から撮ったもの。やはり明治神宮の森との関係は素晴らしいね。奥の方では東京体育館と外苑との関係も確認できるし、その隣で盛んに行われている新国立競技場のクレーン祭りも確認できる。言葉の使い方は難しいけど、「レガシー」という概念はしっかり捉えていきたいねえ。

以下、体育館シリーズをまとめておく。