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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

地域の奥深さに触れる体験

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年度末のドタバタの中、ここ数年ですっかりお世話になっている富山へ、開業したばかりの北陸新幹線に乗って行ってきた。短い滞在だったのに、いろんな人にお会いすることができて、いろんなお話を伺うことができた。中でも強烈な体験だったのが、神通川の河口にある岩瀬浜の漁港に立ち寄ったときに、偶然お会いした初老の紳士。

その方は、白髪でサングラスをかけた強面で、お弁当を持参して防波堤の上でひとりで佇んでおられた。なんというか、只者ではない雰囲気で少しびびったが、あまりにも気になったので、思い切って「こんにちは、いい風景ですね」と呆れるほどスタンダードな言い方で、できるだけにこやかに声をかけてみた。

すると、立山連峰のあれこれを、標高などの正確な数字を交えながら、温和な話し方で教えてくださった。こちらが食いついてどんどん質問していったこともあってか、ものすごく巧みに「地形」の切り口から地域文化を語ってくださった。その視点は実にグローバル。比較対象として地中海やら南米やらがぽんぽん出てくるってすごいよね。

さらに話はどんどん発展し、北前船から富山の薬売り、佐々成政の峠越えを挟みつつ、安田善治郎、浅野総一郎、清水喜助、大谷米太郎、正力松太郎といった近代日本をつくってきた富山出身の実業家たちが生まれた背景まで、かなり踏み込んだレクチャーを受けた。こちらも一昨年くらいから富山についてある程度の知識を仕入れてきたけど、それらを全て包含して結びつけるようなレクチャーだった。いやほんと、ものすごく勉強になったな。

あまりにも博識、かつ、話の構成が巧みだったので、我慢できずに「いったいなにをなさっているんですか?」と訪ねたら、「アメリカやドイツで社長業をいろいろやってきて、だいたいリタイアした」とのこと。具体的な内容は聞かなかったが、なるほど、話に登場した「富山の地域文化」を体現してきた方だったのだ。そんな人生を歩んでこられた方が最終的に富山で暮らしておられるので、「やっぱり富山っていい場所なんですね」と呆れるほどスタンダードな言い方をしてみたところ、「生まれ育った場所だから」と、ものすごく含蓄のある言葉で締めくくられた。そして、颯爽とバイクに乗って去っていった。

やはり「人」だよね。魅力的な人から直接お話を伺うことって、本当に大切だよね。一期一会をかみしめたいね。またしても、よりいっそう富山ファンになっちゃったな。