はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

再建へのステップ

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甚大な被害が生じた熊本地震から丸2年。当時を振り返りつつ現状を伝える報道の中で、復旧が急ピッチで進められている熊本城の天守閣とともに、全面が足場で囲まれた飯田丸五階櫓の様子も示されていた。被災当初より「奇跡の一本石垣」として多くの人に復興への勇気をもたらしてくれたあの櫓だ。

昨年の春に熊本を訪問した際には、緊急対策工として櫓の倒壊を防ぐためにつくられた緑の仮設構台もじっくり眺めた。地震で崩れた石垣の反対側をアンカーにして、鉄骨のアームで上から無理やり櫓を支える緑の巨大装置。ニュースでこの姿で見たとき、ド迫力のマッチョなかっこよさにしびれたので、どうしても見ておきたかったのだ。

現在はこの仮設構台は撤去されて、新たな倒壊防止構台で下からがっちり支えられながら、崩れた石垣の復旧工事が進められているようだ。櫓は7月までにすべて解体されて、それらの部材は城内の格納庫に保管されるという。再建にはまだまだ時間はかかると思うけど、影ながら応援したいと思っている。昨年、復興城主にもなったことだし。

アートネイチャー問題

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構造物の「緑化」について、Twitterのタイムラインに興味深いコメントがいくつか上がっていた。そのきっかけは、メキシコの高架橋の橋脚をつる性植物で覆うというプロジェクトに関するツイートのようだ。元の記事は環境問題として書かれているのだが、こちらとしては人工空間における「緑化」のありようが気になってしまう。なにしろ、個人的には「緑=自然=正義」というねじれた認識がなんとなく社会の中で共有されている気がしているので。人工(art)vs 自然(nature)という意味で、「アートネイチャー問題」とでも言っておこうかね。

上の写真は、ドイツ南部でたまたま見た堀割道路を跨ぐ道路構造物。アーチ状の断面を持つコンクリート構造物の上に土がかぶせられ、その上が緑化されている。構造物としてはボックスカルバート(函渠)ってことになる気がするが、観察者にとってはトンネルにも橋にも見えるだろう。

僕の場合、トンネルとして捉えると緑化は素直に受け止められるけど、橋として捉えるとちょっとたじろぐ。地面が連続しているトンネルなのか、地面から切り離された橋なのか。地中にもぐるのか、空中の構造物をくぐるのか。見方によってずいぶん印象が違ってくる。どう認識してどう理解するかってことは、とても重要だね。

ちなみに、起点となったツイートは@masubuchiさんによるもの。そして、上の構造物は彼が運転してくれた車の助手席から撮った。ようやく先ほど、この場所はイスニー・イム・アルゴイという小さな街の近くであることが特定できた。周辺の状況を航空写真で見ても、何のためにここまで手をかけているのかはピンとこないんだよな。

レゴの橋

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ドイツ西部の都市、ヴッパータールに架かるレゴブリッジ。レゴでつくったミニチュアの橋ではなく、レゴでつくられたようにペイントされたコンクリート橋だ。とても古い鉄道橋で、現在は自転車道となっている。

事前に写真で見ていたとおり、なかなかのインパクト。うっかりニヤニヤしてしまった。冷たい雨に降られつつ、あまり時間もなかったため、じっくり鑑賞できなかったことが心残りだな。そういえば、タクシーの運転手に「レゴ」という発音は全く通じなかった。タクシーに乗る前に、ドイツ語の発音の練習をしておいた方がいいかもね。