はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

段差がある水辺

f:id:hachim:20180326022415j:plain

すでに埋め立てられた立売堀が木津川に接続していた場所にある「トコトコダンダン」は、直線的でクールな造形なので、少し取っつきにくい印象があるかもしれない。でも実際に空間を体験すると、とても心地よい。その源泉には、視点の高さの変化による豊かなシークエンス体験があるんだろうな。

なぜ高低差があるかというと、そもそもが防潮堤だから。あたかもスーパー堤防のように高低差を平面的に展開することで広場を創出しているのだ。おまけに既存の護岸の上に床版を張り出して遊歩道を生み出している。河川構造物でここまでできるんだね。この空間を実現させたスキームと関係者の胆力はすごい。

ステキ倉庫

f:id:hachim:20180324112556j:plain

倉庫の壁面って、時間が経つにつれてじわじわくる。立体駐車場がもたらしてくれるモヤモヤに近い感覚。全体的にヒューマンスケールからはずれているのに、ちょっとした隙に親しみが表れるツンデレなところとか、たいへんステキだよねえ。間接的に「人の都合」が関与している眺めって、鑑賞しがいがあるもんねえ。本腰を入れて「ステキ倉庫」を採集しようかな。

そんなことをメモしておこうと思っていたら、すでに近いことを書いていた。メモの意味ないじゃん。あ、でもここで振り返っているので、ちゃんと機能しているってことか。 

 

三角形の集合体

f:id:hachim:20180320002425j:plain

大正駅の高架ホームからまる見えのダブルワーレントラスの木津川橋梁。先日の岩崎運河橋梁と全く同じスペックの双子橋なのだという。構造や材料に多少の余裕が生じても設計を一回で済ませる姿勢から、単純化や標準化への切実な願望を感じるね。

それにしても、細かい部材で構成されているトラス橋ってのはいいねえ。大小の三角形が入り組んだ様子をじっと見ているだけで、クラクラしてくる。大きな鋼板の登場によってかかる手間が少なくなった現代社会の鋼橋を見慣れていると、ヒューマンスケールの部材の繰り返しがなんとなく装飾的に見えてしまうから不思議なもんだ。