はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

昇降グラデーション

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大阪湾の高潮から市街地を守る木津川水門。アーチ状の巨大バイザーゲートを有する、強烈なインパクトがある1970年につくられた構造物だ。大胆な構造システムや近未来的な造形テイストなどからしてみると、1960年につくられたオランダのハーゲスタイン水門を参考にしているような気がする。上下流の向きや素材などがまるで違うけどね。調べておかなきゃと思いつつ、すっかり忘れていた。

感激ポイントはたっぷりある。その中でも、個人的に最も体験してみたい箇所は、側面にある昇降路だな。特に、上屋から降りてみたい。最初はフラットな床が階段になり、やがて梯子になるという除変トラップ。ドキドキしながら降りてみたいな。

 

 

技術革新が奪った仕事

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先日FBを見ていたら、友人が近所の廃料金所ブースを紹介していた。この近くはたまに通っていたはずなのに、いままで気付かなかった。自分の不明にちょっとした悔しさを抱きつつ、あらためて通勤時に寄り道してみた。

実際に稼働している自動精算機レーンの隣に、コーナーにアールがあしらわれた友人ブースの料金所が残されている。その味わい深い様子から、彼はテクノロジーによる世代交代をしっかり受け止めながら、淡々と歴史を積み重ねていことが感じられる。できれば、さらに向こう側に完全にナンバー自動読取装置で完全自動化されたレーンをつくって、彼がレジェンドとして脚光を浴びてほしいものだね。

それにしても、見どころがたくさんある。もともとのフォルムやプロポーションもかわいいし、存在感がある室外機が従属する関係もすてきだ。さらに、テントが張られていたのであろう屋根のフレームの様子とか、複数の種類が感じられる鉄板の錆の進行の仕方とか、隙間の目張りの仕方とか。写真の逆側には車が衝突してできたと思われる凹みまである。

環境の変化によって一線を退いたとしても、別の生き様を見せてくれる彼の場合は、老害なんかじゃない。このように余裕をのある楽しさを包含してこそ、真の「働き方改革」なんじゃないか。

再建へのステップ

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甚大な被害が生じた熊本地震から丸2年。当時を振り返りつつ現状を伝える報道の中で、復旧が急ピッチで進められている熊本城の天守閣とともに、全面が足場で囲まれた飯田丸五階櫓の様子も示されていた。被災当初より「奇跡の一本石垣」として多くの人に復興への勇気をもたらしてくれたあの櫓だ。

昨年の春に熊本を訪問した際には、緊急対策工として櫓の倒壊を防ぐためにつくられた緑の仮設構台もじっくり眺めた。地震で崩れた石垣の反対側をアンカーにして、鉄骨のアームで上から無理やり櫓を支える緑の巨大装置。ニュースでこの姿で見たとき、ド迫力のマッチョなかっこよさにしびれたので、どうしても見ておきたかったのだ。

現在はこの仮設構台は撤去されて、新たな倒壊防止構台で下からがっちり支えられながら、崩れた石垣の復旧工事が進められているようだ。櫓は7月までにすべて解体されて、それらの部材は城内の格納庫に保管されるという。再建にはまだまだ時間はかかると思うけど、影ながら応援したいと思っている。昨年、復興城主にもなったことだし。