はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

待望の斜張橋

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このところ、10年前の被災地の映像を頻繁に目にする。過去に訪問した場所が画面に登場すると、大きな変化を感じることもある。2019年の夏に桁の架設が進められていた「気仙沼湾横断橋」が、次の土曜日に開通予定だと知り、そのスピードにあらためて驚愕している。

これにより、仙台と宮古が自動車専用道路で直結するとのこと。各種の復興事業が進むことで、この地域の利便性は一気に向上することだろう。できるだけ早くに再訪して、道路がつながることの意味を実感したい。工事関係者がどんどん少なくなることで、コンビニの数が急速に減っているという地元の方の話も気になるところだが。

ちなみに、写真の奥に見えるアーチ橋は、2019年の春に開通した「気仙沼大島大橋」だ。この橋によって、10年前の震災でも救援活動に難儀したという離島が、道路によって結ばれた。こちらの橋も、とてもかっこいいよ。

 

至高の斜張橋

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昨年の晩夏、いくつかの偶然が重なったことで、しまなみ海道の多々羅大橋を見に行くことができた。1999年の供用開始から、いつか行かねばならないとずっと思いつづけていた、あこがれの斜張橋。僕の中では世界一かっこいいのではと、密かに思っていた。

やはり実際に眺めると、スケール、フォルム、構造、立地など、どこに着目しても満足度が高い。とは言え、一番なんて決めるものでもないよなあという気分にもなった。それぞれの斜張橋も、それぞれの魅力があるわけで。そのことを確認するために、これまで見てきた素晴らしい斜張橋を振り返ってみた。

すると、やはり多々羅大橋のレベルって、ものすごく高いんだなあと、あらためて認識した。同時に、デュッセルドルフのクニー橋に関する記載が本ブログにないことを認識した。これはいかん。

 

 

果てなき消耗戦

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記憶の中にぼんやりと残っていた写真を、ようやく探し当てることができた。車で長野県小谷村に行った際に、日本海に抜けて親不知海岸まで足を伸ばしたことをすっかり失念していた。

北アルプス山脈の北端が日本海に飲み込まれている場所は、知らない間に親子の行方がわからなくなるという名の通り、昔からの交通の難所だ。尋常ではない波の力が作用し続けているため、現代の道路や鉄道もずいぶん苦労しながら維持管理されている。

もちろんその海岸を防御すべく、消波ブロックというクローン兵が大量に配備されている。しかし、彼らは荒波に揉まれて疲弊し、摩耗し、強制的に砂に戻されている。なんとも言えない悲壮感が漂う消耗戦。献身的な彼らのことをうっかり忘れていた自分を叱責している。