前回の橋梁を遠くから眺めると、こうなる。異様にスレンダーかつシンプル。テーパーがついた細い橋脚、ストラットで剛性を高めている鋼箱桁、両端の斜面の保全を実現したケーブルトラス。地味に見えるけど、かなり冒険している構造物だ。実際にこの橋に触れたとき、ドイツの橋梁設計哲学の真髄を見たような気分になった。
“ドイツは地震がないから実現した形だろ”ということも事実だけど、だからと言って“ルールを守ることこそいい設計”という後ろ向きの姿勢を肯定する要因にはならない。
この橋を設計した人物は、ドイツ流のエンジニア魂に美のエッセンスを注入したF.レオンハルト。氏の思想は、橋梁デザインのバイブルとも言える名著『ブリュッケン』に収められている。
「橋造りは、人がいつまでも若々しく、かつ情熱を失うことなく、夢中になることができる情熱と愛の源泉である。」(序文より)
うーん、熱い。
![ブリュッケン―F・レオンハルトの橋梁美学 ブリュッケン―F・レオンハルトの橋梁美学](http://d.hatena.ne.jp/images/hatena_aws.gif)
- 作者: フリッツレオンハルト,Fritz Leonhardt,田村幸久,寺尾圭史,山田聡,三ッ木幸子,二宮弘行,景観デザイン研究会
- 出版社/メーカー: メイセイ出版
- 発売日: 1998/01
- メディア: 大型本
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