はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

下町の頑固さ

浅草の地下街に通じる階段。かなり怪しげな雰囲気を醸し出しているけど、地上からのメインエントランスだ。たぶん。

この地下街、見た目からしてもかなり古い。営業開始は昭和30年(1955年)らしいので、すでに半世紀ということになる。その時期から考えると、終戦の混乱の中をたくましく生き抜いた露天商たちが最初の店子だったのだろう。今は少し閑散としているけど、当時の活気はすごかったろうね。

古い地下街はたいてい、どこかの時点でリニューアルして小綺麗になっているけど、ここは違う。基本的にはほとんど変わっていないだろう。薄暗くて混沌としているし。あとから継ぎ足されたのであろう防災設備なんかも程よく馴染んでいる。変化を求めないことで、結果的に他にない強力な個性を獲得している。それが、この地域の土地柄なんだと思う。

昭和の空気にお手軽に触れたい方には、行ってみることをおすすめしたい。テーマパーク的な安心感よりも、リアルな緊張感を求めている方にはうってつけ。