はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

都市の表皮


北海道産のメロンをいただいた。当然とてもおいしかったのだが、食べる前にメロンの表面をじっくり観察してみた。なぜなら、先日行われたフォーラムの中で、建築家の宮本佳明さんが「メロンの皮は都市計画道路に似ていて、筋はやっぱり直角に交差するようになっている」と述べられていたので。なるほど、よく観察すると幹線道路もあれば、環状道路もある。混沌と入り組んだ街路もある。計画性があるようでいて、行き当たりばったりのような感じだ。目の前のメロンは、都市で覆い尽くされた惑星へと徐々に変質してきた。
宮本さんとは1年ほど前にもたまたまお話する機会を得たのだが、氏の地形や環境を読み解く能力の高さや土木に対する鋭い眼差しに脱帽し、すっかり感化されてしまった。その直後に「環境ノイズを読み、風景をつくる」という本を拝読したのだが、これがまたとても面白い。地形、土木、文化財といった残存可能性が高い「硬い」ものの影響を受けつつ、様々な「加工」によってできあがったへんな風景を、たくさんの写真や図で示しながら論じているのだ。自分が言葉にできなかったなにかを言葉にしていただいた、そんな喜びを感じた。未読の方は、ぜひ。


環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)

環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)