はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

時間がかかる仕事

今日はとてもうれしいメールをいただいた。以前勤めていた会社の友人から、以前関わらせてもらった橋梁の架設現場の様子を、写真付きで送ってくれたのだ。うれしくて、何度も写真を見返してしまった。ちなみにこの写真は、橋桁の断面の様子。一風変わった断面形状をしている。
そうこうしていると、いろんな思い出が頭をよぎった。仲間と模型やCGをつくりながらあれこれ検討したこと、社内で戦って認めてもらったこと、検討委員会で戦って破れたこと、などなど。昔の思い出ってのは、たいてい楽しく美しいものになるね。そう言えば、この橋の仕事で深夜残業しているときに、転職の話をいただいたんだった。あれから、もう5年も経ったのか。
土木の設計の仕事は、タイムスパンがとても長い。港湾やダムがらみの仕事の場合、設計から10年以上経っても供用していないなんてことはざらである。それどころか、注意深く情報を仕入れていないと、供用したことすら知らないでいることも多々ある。この時間的距離は、設計者のモチベーションに大きく影響すると思う。それに、設計と施工との心理的距離も離れてしまいやすい。ものをつくる仕事なのに、ものから離れてしまうのは、重大な問題だね。だからと言ってすぐに短縮できるかというと、社会の仕組みに深く根ざしていることなので、そう簡単な話ではない。
ともあれ、このような形で自分が関わらせてもらった仕事の情報をいただくことはとてもうれしい。何年先になるのかわからないが、この橋が供用した暁には、必ず現地に行って眺め倒し、しっかり渡ろうと思う。