新国立競技場の超豪華国際コンペで、イラク生まれイギリス在住の女流建築家であるザハ・ハディドの案が最優秀賞に選ばれた。ファイナリスト案を見て以来、個人的にはうっすら期待していたんだけど、「まさか!マジか!ホントに選びやがった!」と思った。審査委員会の胆力と英断を称えたいと思う。
新国立競技場オフィシャルページ
穿った見方をすれば、未来的でゴージャスな箱物を周辺環境から突出するようなランドマークとしてぶち上げるという、手垢の付いた古くさいやり方に思われるかもしれない。現代の日本の社会には適合しないし、そもそもいろんなコンテクストを無視しやがってと、きっと良識と常識と知識のある方々からの嫌悪感はしばらくつきまとうんだろうね。
でも、パリにおけるルーブルのガラスのピラミッドやポンピドゥー・センターやエッフェル塔なんかの当初のインパクトに比べれば軽いもんだよ、おそらく。要するに、単純に「げっ、すげえ」と思えるものを選定したことに、これまでの日本にない割り切りの良さが感じられることが、僕にとって新鮮に感じるのだ。
構造からディテールに至るまでしっかりとオリジナルデザインを実現することができれば、もともとそこにあるむちゃくちゃ強いアクによって、批判の類をねじ伏せることができると思う。というか、そのために技術を向上させるべきだと思う。そして、実施設計はたいへんそうだけど、絶対に妥協しないでいただきたいなあ。
上の写真はイタリアのローマにある国立21世紀美術館(MAXXI)。2010年に完成したザハ建築で、美術館のくせに展示物よりも主張が強い本末転倒のびっくり建築だ。ザハの造形力はやはり尋常ではなく、なんというか、懐かしい未来感に満ちているように感じる。あの頃輝いていた未来がようやく現実のものとして目の前にあるってことに、ものすごく感激するわけだ。まあ実物の空間を体験するまでは、どちらかと言えば嫌いだったけんだど。
まあ、このようなザハの超現実SF的空間体験が東京で味わえるかもしれないってことは、やはりワクワクするね。なんだかんだ言って、いいコンペだったんじゃないか?