はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

海岸を守る円弧

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最近知り合った富山に住む友人に勧められて、生地(いくじ)という街を訪問した。彼は「まず、海に向かいなさい」とまるでお告げのように言っていた。その通りに延々と下新川海岸に向かって歩いた結果、びっくり構造物を拝むことになった。お告げは正しかったのだ。

ひええ、なにこのランドアート的美しさ。コンクリートの箱とスチールの管とコンクリートの函が滑らかな曲線で連なっているのは、どんな意図があるというんだ。いったい誰に向けてこの存在感を誇示しているんだ。これを目の当たりにするなり、興奮しすぎてわけがわからなくなった。

この構造物は海岸線の後退を防ぐための「透過型有脚式突堤」という。通常は、「離岸堤」というやや陸から離れた場所に消波ブロックを積み上げる対策を講じるのだが、この場所の地形は少し離れるとすとんと水深が下がる地形であるため、その対策は無理がある。しかも閉塞した構造にすると、海岸を豊かにしてくれる漂砂まで防いでしまう。そこで採用されたのが、鋼管杭の上にスリットがあるコンクリートブロックを載せる本工法。まあ詳細は国交省北陸地整黒部河川事務所によるパンフレット(pdf)を参照してくださいな。現場でツイートしていたら、すかさず大山さんが見つけてくれたよ。

押しつけがましい作家性など微塵も感じさせないまま、うっかり美しさを感じてしまうモノって、たまらなく魅力的だよねえ。