先ほどダッチ・ドボク・ファン必携の書をご紹介いただき、見た瞬間に買い取った。『Dutch Dikes』というストレートなタイトルの大型本だ。英語版なので(僕は)瞬間的に内容を理解できるわけではないのだが、とてつもなく素晴らしい書籍であることは間違いない。興奮しすぎて、鼻血が出そうだ。
内容の強度は、学術書や研究書と言っても良さそうなほど。オランダの国土を成立させている堤防が、体系的にまとめられているのだ。しかも、写真集と見まごうばかりに美しい、極めて存在感のある本として成立していることに驚く。土木や技術のプロモーションには、こういった「伝える」ことの意義に対する感度や寛容さが大事だよねえ。
堤防の位置、土地の標高、河川流量、土質、洪水危険エリアなど、様々な切り口の統一された美しい地図群。豊かな図版を丁寧に配置して、堤防の観点からしっかり積み上げられた国土形成の歴史的経緯。人々の生活との関連がわかる断面図や写真を駆使して説明された堤防の建設技術。都市問題や環境問題などの近代的な問題に対応する堤防の未来像。アイソメトリックで描かれた見事なポンチ絵とともに示された堤防の分類。それらの途中にオランダを代表する100の堤防が、それぞれ愛情のある美しい写真とともにコラムのように差し込まれている。それと、手に取ってみてはじめてわかるが、表紙の仕上げもすごく凝っている。
この本は、ロッテルダムを拠点とする『LOLA landscape architects』というランドスケープデザインの事務所が手がけたものらしい。防災というシビアでマジメなテーマを、さらりとクオリティとオリジナリティの高いデザインでまとめるあたり、いかにもオランダっぽいなあと思うね。あと、本のでかさからしても、なんともオランダっぽいんだよな。
いやほんと、だまされたと思って買ってみようよ。現時点のレートでは、1万円くらいするけど。治水のプロはもちろんのこと、ドボク好き、ランドスケープ好き、水回り好き、地図好き、地形好き、都市好き、インフォグラフィクス好き、オランダ好きなどの方々にもヒットする部分が結構あると思う。僕もまたオランダに行きたくなっちゃったなあ。
【追記】
@mechapanda さんから、この本のサイトを教えていただいた!いろいろなページや図版を見ることができるよ。テンション上がるね。
Dutch Dikes | Dijken van Nederland
- 作者: Tracy Metz,Eric Luiten,Steffen Nijhuis,Hans Renes
- 出版社/メーカー: Nai Uitgevers Pub
- 発売日: 2015/02/24
- メディア: ハードカバー
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Dijken van Nederland / druk 1: dragers van het Nederlandse landschap
- 作者: Eric-Jan Pleijster,Cees van der Veeken,Robbert Jongerius
- 出版社/メーカー: Nai Uitgevers/Publishers
- 発売日: 2015/02/24
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