愛媛県内子町にある山間の小さな集落に、「田丸橋」という屋根付きの木製歩道橋がある。1944(昭和19)年に架けられた木橋なのに、しっかり現役。構造部材の補修補強や屋根のふき直しなどの手が入りつつ、オリジナルの姿がちゃんと維持されている。雨をしのぐ屋根の効果は絶大で、材木の長寿命化に大きく効いているんだろうね。
構造は太い丸太で組まれた方杖ラーメンだ。コンツェットによるスイスの木橋は6段になっていたけど、こちらは2段。上段は中央部で見事に接合して一体化している。下段はより太い材木を用いており、石で組まれた橋台に向かう斜材も含めて、力の流れを視覚的に実感できる。
ディテールも魅力的。いい感じに風合いが出た材質感はもちろんだが、曲がった木を見事に床版や梁材に使用しており、材料を惜しみつつも手間を惜しまない気持ちが伝わってくる。とても感動できる橋なので、愛媛方面に行く際には立ち寄ることをオススメしたいな。