はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

段差の更新履歴

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職場の近所を通る私鉄の切土区間にある跨線橋。鉄道の建築限界をクリアするために、少々無理をしながら路面位置が持ち上げてられている。この様子には事情が積み重なっているような気がして、個人的にはがっちり心をつかまれた。そこで現状を観察しながら、アプローチ部のスロープが歩んできた歴史を妄想してみよう。あくまでも憶測だし、事実を調べるつもりもないけど。

スロープの下端部にはアスファルトがこんもり盛られている。ひょっとすると最初は階段だけでスロープは後から付け足したんじゃないかと思ったのだが、全体の勾配が緩いので当初からスロープがあったと考える方が自然だ。とりあえず、下端部のコンクリートが欠損して、その補修がアスファルトでなされていると解釈しておこう。

次にスロープ上面のテクスチャーの違いもたいへん気になる。中央部はわりと平滑なんだけど、両サイドは洗い出し仕上げのように骨材がむきだしになっている。これは積極的に2種のテクスチャーを混在させたわけではなく、オリジナルのスロープの幅は狭くて不便だったので、両側にコンクリートを盛り付けることで拡幅されたのではないだろうか。既設階段に打ち足すのは締め固めが難しいのか、ずいぶんボロボロになっているし。

そのようにスロープが拡幅されたことで、勇猛果敢にバイクに乗ったまま歩道橋を渡る人々が現れたのだろう。比較的近年に設置されたと思われる危険行為を抑止するための看板や路面が、鮮やかに掲げられている。そして、それでもバイクの進入を抑制できなかったのか、スロープの上下端にラバーポールが設置されている。しかも、路面の「原付」という文字を覆い隠す位置に。結果的に自転車の利便性は、当初の狭い幅員のスロープと同等に戻っちゃっただろうね。

その他にも、なんで壁が傾斜しているのかとか、なんでブロック塀の直前に車止めがあるのかとか、なんで線路の直上に投物防止柵が設置されていないのかとか、気になる点は多々ある。でも、そこらへんも謎のままにしておこう。また観察する機会があれば、その時にまた楽しもう。