はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

防空壕にて

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先日長崎を訪れたとき、急斜面に広がる住宅地を少しだけ散策した。その際、何とも重々しい雰囲気を放つ緑地が目に止まった。そこは「長崎県防空本部跡(立山防空壕)」と示され、内部も一般公開されているということなので、ドキドキしながら立ち寄った。

1945年8月9日午前、当時の長崎県知事を中心に、3日前広島に投下された「新型爆弾」への緊急対策会議が招集された。会議が始まったとたん、電灯が消え、入口の戸が爆風で吹き飛ばされた。尾根を越えて2.7km離れた地点で2つめの「新型爆弾」が炸裂したことは、その直後より次々ともたらされた悲惨な情報により明らかになっていったという。

上の写真は防空監視隊本部が設置されていた地下空間。文章や映像などの他者のフィルターを経た情報であっても、それが実際に起こった場所で受け止めることは、情報の密度感が全く異なり、理解の強度が圧倒的に高まる。これは、ダークツーリズムという概念の重要な部分だと思う。