はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

入口としての工場夜景

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前の金曜日に「第9回工場夜景サミット in 千葉・市原」が開催された。千葉市や市原市の方々を始めとする、多くの関係者によってつくり込まれたイベントだった。サミット後には2つの特別バスツアーが地域の企業の協力のもとで行われたのだが、ありがたいことに、僕も片方のツアーナビゲーターとして参加させていただいた。

これは、個人的にたいへん感慨深い体験だった。ちょっと自分中心の見方になるけど、2007年に当時の職場の学生たちと一緒に取り組んだ「テクノツーリズムプロジェクト」と、同時期に『工場萌え』の大山顕さんらと取り組んだ「工場鑑賞ツアー」が、11年の時を経て今回のイベントでひとつの完成形になったと捉えることも可能だ。あの頃に蒔いたいくつかのタネが、あちこちに植え替えられて、10年越しの収穫をお手伝いできたのだ。なにしろ、テクノツーリズムプロジェクトのメンバーが今回の企画のキーパーソンとしなり、実際にもう片方のツアーナビゲーターを務めたのだから、たまらないよねえ。

サミットのメインコンテンツは、大山さんの進行による千葉市長と市原市長とのトークセッションと、11の自治体の代表者による工場夜景見どころプレゼン大会。千葉市長の熊谷さんのスマートで切れ味のよいトークや、各自治体の「ちょっといい話」にも感激したが、何よりも大山さんのコーディネートっぷりは素晴らしかった。伝えるべきところを伝えつつ、工場景観を形成している「産業」が地域の文化とアイデンティティーの基盤であり、そこに誘目させる文脈をあぶり出すことに成功していた。ご来場の市民の方々のみならず、列席していた政治家や役所の方々にも共感が得られたであろうことは、次の展開に向けてたいへん意義深いのではないだろうか。今後がますます楽しみになってきた。

「工場夜景」というカテゴリーが写真撮影に寄っていることは若干気がかりではあるけれど、地域産業の捉え方を考えるきっかけとして機能していることは間違いない。このところ随分賑やかになってきた「インフラツーリズム」にも影響を及ぼす可能性がある。まあこちらとしては境界線など意識せず、どちらもセットで取り上げたいコンテンツではあるのだけど。

上の写真は、今回のツアーの下見をした際に記録用として撮った写真。このくらいなら、手持ちのデジカメで撮れちゃうようになった。そんなことにも隔世の感を禁じ得ないな、と思ったんだけど、よく見ると4年前のカメラだった。最近のフルサイズとか使えば、もっとすごいんだろうなあ。

 

工場萌え

工場萌え

 
工場萌えF

工場萌えF