はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

形態

300mの曼荼羅

現在エッフェル塔は19回目の塗装工事が行われており、一部が防護ネットで囲われている。全体像がきれいに見えないからといって、構造物をかじっている者として、欧州に来たからには参拝しないわけにはいかない。というわけで、寒風吹きすさぶ中、エッフェル…

ななめのでっぱり

アイントホーフェンで暮らし始めてから、テレビをほとんど見なくなった。当たり前だが、全くわからないオランダ語の放送ばかりなので。このため、家にいるときにはクラシックのFMラジオをつけることが習慣となった。 ところが、結構頻繁に現代音楽がかかって…

キューブハウス

黄色い立方体を斜めにして大量に連ねたこの奇妙な集合住宅は、いくらなんでも自由すぎると思うんだ。机上の計画にとどまらず、駅前の一等地に本当につくってしまうなんて。これがダッチデザインなのかとオランダ人に尋ねてみたら、いやこれはおかしいだろう…

四角いトラス

門前仲町の近所にある1929年(昭和4年)竣工のワーレントラス、亀久橋。トラス橋の端部はふつう斜めの部材になるのだけども、この橋は鉛直になっている。このためびっくりするくらい四角いフォルムなのだ。ほかではなかなかお目にかかれない。クールでシャー…

レンガの造形

この形態でレンガ風の表面処理にするという発想が斬新。しかも丁寧につくられている。がんばってデザインを詰めている間に、道に迷ってしまったのだろうか。あるいは、ジャッジをする側が調子に乗ってしまったのだろうか。いろいろ考えてしまう。

菊水円形横断歩道橋

およそ40年前の1971年建設された札幌市白石区菊水6条4丁目の六差路に架かる国内初の円形歩道橋。水曜どうでしょうの雅楽戦隊ホワイトストーンズのロケ地としても有名で、来訪者は絶えない。 この橋をなんとか全貌を捉えられないかと思案し、近所の結婚式場…

小判型

河川の中の橋脚は、水の流れを阻害しないように小判型の断面にしなければならないというルールがある。その一方で陸上部では、小判型の断面にする必要がない。しかし、結構頻繁に見かける。小判型は造形の自由度が低かったり、柱頭部のおさまりが悪かったり…

深川の木馬

首都高9号深川線を下から見上げるのは初めてだった。ちょっと前までは水路だったのだろうと思われる場所に、二層の高架が延々と続いている。その中に、ほかではあまり見たことのない形の橋脚があった。 現場から写真付きでツイートしたら、即座に「木馬」だ…

有名建築家

台湾の東海大学の中に、路思義教堂というすてきなチャペルがある。4枚のコンクリートシェルを合わせたフォルムは、シャープでダイナミックでセクシー。 誰の設計かと思って尋ねてみたら、ルーブル美術館のガラスのピラミッドや滋賀の山奥にあるMIHO MUSEUM…

ジャングルジム

公園の遊具でぐるぐる回るジャングルジムのようなものがあったけど、最近見かけない。と思ったら、四日市コンビナートの中にあった。しかも巨大化して。ガスタンクを包み込む青いかご、いったいなんだろう。

Xコンクリート

先日鹿島港に行ったとき、防波堤の一部になると思われるコンクリートの壁体は、残念ながら跡形もなく消え去っていた。そのかわり、今度はX字型の不思議な物体が2段重ねで大量に陳列されていた。これは一体何のためのものなんだろうか。同じものがくり返し並…

生まれたてテトラ

消波ブロックが生み出す風景の良し悪しはともかく、その造形の完成度はかなり高いと思う。こんなに素敵なのに、海に沈められてしまうなんて。

展望まつり

富津岬の突端にある展望台は、かなりファンキーだ。これでもかというほどに展望デッキが繰り返され、それらが迷路のように階段で結ばれている。いろんな場所から展望し放題。五葉松をモチーフとしてつくられたものだそうだが、増殖する菌糸類とか脳細胞シナ…

穴の間隔

日本橋川の最下流に架かる豊海橋。震災復興橋梁として1927年(昭和2年)に架けられた、地味だけどすてきな橋だ。そのフォルムはトラス橋っぽいが、斜めの部材がない。ちょっと珍しいこの構造はフィーレンデールという形式で、強いて言えばラーメン構造に属す…

三面張

全く人を寄せ付けない高さの護岸、ほぼ正方形の断面プロポーション、素っ気ないコンクリートの表情、生物の棲息を拒む河床。まさに、お手本のようなコンクリート三面張りの河川。 山が多くて国土が狭い日本の河川は、大陸のものと比べて圧倒的に急な勾配にな…

有機的な巣

シカゴ郊外の上空からこの住宅地を見て、ぎょっとした。見渡す限りの平原に、突如として複雑怪奇な文様が。アリの巣か、マスクメロンか、ナスカの地上絵か。 ちょっと気持ち悪いな。でもアイレベルで見れば、シークエンスの変化や迷路性のある面白い宅地なの…

ぐるぐる

だいぶ前の話で恐縮だが、ダムの萩原さんがDPZでとても面白い記事を書かれていた。 グッゲンハイム駐車場めぐり 時々使っている千葉そごうの駐車場は前から気になっていたのだが、内側がこんなにすてきなことになっているとはぜんぜん知らなかった。 過日…

三つ子吊橋

ピッツバーグの街で見かけた吊橋たち。 全く同じに見える吊橋が、仲良く3つも並んでいた。 かなり珍しい眺めなんじゃないかな。

城砦ダム

昭和5年(1930年)に完成した日本で唯一の石積みマルチプルアーチダム、豊稔池ダム。讃岐の水田を潤すために、いまも現役で働いている。黒々としたバットレスが堅牢な古城のごとき威圧感を放っていて、ものすごくかっこいい。 設計は佐野藤次郎。完成の前年…

球の理由

この球形タンクは、いかついタワーたちに囲まれていることで、かわいらしさがいっそう引き立っている。ついつい手を伸ばして、なでたくなるほどだ。 球形のタンクでは、内部の圧力を高めてガスを液化し、貯蔵しているのだそうな。その圧力を最も効率よく受け…

すてきな高架橋

首都高中央環状線は、平行する荒川と中川の間にある堤防の上を通っている。これまでは橋面を走行することしかなかったのだけど、最近になって、堤防の上を散策しながら、下からじっくり眺める機会を得た。 塗装が傷んでいる箇所が部分的にあったが、とても丁…

わかる形

橋梁の構造形式の中でも、アーチ形式が好きな人はかなり多い気がする。たぶん、アーチは“直感的に理解できる形”なんだと思う。重力のある環境の中で生活してきた経験を無意識的に動員して、力の流れをなんとなく了解できるのだと思う。 内部空間を生み出す建…

ロジスティック・スケープ

昨年くらいから船に乗せていただく機会が増えてきて、すっかり港湾の魅力に目覚めてきた。 たとえば、船から眺める製鉄所や石油化学工場はもちろん素晴らしいのだけど、高度に効率化された物流の眺めってのにも味わいというか面白さを感じるようになってきた…

都市の表皮

北海道産のメロンをいただいた。当然とてもおいしかったのだが、食べる前にメロンの表面をじっくり観察してみた。なぜなら、先日行われたフォーラムの中で、建築家の宮本佳明さんが「メロンの皮は都市計画道路に似ていて、筋はやっぱり直角に交差するように…

引き算の造形

レインボーブリッジの主塔にはいろんな造形的工夫が盛り込まれている。たとえば、曲線や曲面が取り入れられていること。このことは、鋼材で構成されている構造物としては珍しい部類と言える。 その造形の考え方は明快。1枚の板をパンチアウトした「引き算」…

土と構造物のおさまり

デンマークで見かけたボックスカルバート。造形は簡素なのだが、かなりよく練られている。側壁の傾斜はユニークなフォルムを生み出し、内部の閉塞感を軽減し、交差点への視認性を格段に向上させている。そして、素直な盛土とのおさまりがとても効いているよ…

しくじった擬態

自然を模倣するのは難しい。表層だけを模倣すると、ろくなことにならない。積雪寒冷地の切土法面には、雪崩防止柵という工作物がよく設置される。法面の雪が一気に道路側に滑ると、大きな災害になるからね。通常の雪崩防止策は、スチールのパイプを組んだも…

スーパーインポーズ

札幌ドームの外観は、なんとなく工業製品っぽい。まるでマウスのような曲面、プラスチックにシルバー塗装したような表面、スパッと切ったような断面、アールがかけられた端部処理、外周を取り巻く水平のパーティングライン。さらに、サッカー用の天然芝をド…

反復

決してこの事例が良いとは言わないが、プレキャスト部材は面白い効果を生み出す。つまり、繰り返しの効果。単調なものが繰り返され、一定のリズムを生み出し、全体を構成する。そのスケールが大きくなればなるほど、または、基本の単位が小さくなればなるほ…

独り立ちした門

そもそも門は、特殊な場だと思う。分け隔てられた内側と外側が門によって結ばれ、そこを通過することで世界が切り替わる。だからこそ、古来から個人も権力者も、門に対して格別のこだわりを持っているのだろう。自分を誇示するものとして。だからと言って、…