はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

三角体育館

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丹下健三とタッグを組んで数多くの名建築を生み出した構造家・坪井善勝が、単独で設計した体育館が下関にある。1963(昭和38)年につくられた下関市体育館は、全体を通じて三角形の変奏曲といった雰囲気が生み出されていて、そのフォルムはスター・デストロイヤーなどの帝国軍の艦船を彷彿とさせる。いや僕だけかもしれないが。
特に屋根の造形はとてもすてきだよ。双曲放物面という幾何形態を造形言語としながら、ダイナミックで繊細で緊張感のある形態が生み出されている。始点となる合掌づくり的支柱からゆるやかに面の方向が変化していき、最後のところでキュッと反転するところなんて、たまらないよねえ。もちろんその屋根構造は内部空間にもしっかり反映されていて、音楽ホールにも似た雰囲気が形成されているよ。
ちなみに僕は、建築史家の倉方俊輔さんの著書『ドコノモン』を見て、この体育館のことを知った。ひょっとしたら名建築?という少々マイナーな建築物がたくさん紹介されている『ドコノモン』、実は自分の『ヨーロッパのドボクを見に行こう』のコンセプトや構成などで大いに参考にさせていただいた。2年前、はじめて倉方さんにお目にかかった際に、しっかりサイン本になったよ。なお、現在はKindle版だけのようだ。

ドコノモン

ドコノモン