はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

残す再開発

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ロンドンのセント・パンクラス駅とキングスクロス駅に近接し、1820年に開通したリージェンツ運河の北岸にある「コール・ドロップス・ヤード」というショッピング・モール。その名の通り、鉄道と運河を結びつけて石炭を積み降ろすことで産業革命を支え続けた場所のようだ。その後しばらくは、ずいぶん治安の悪いエリアだったらしい。

現在は大胆な再開発によって、おしゃれなショップやレストランがたくさん入っている。その今どきっぽい雰囲気には少々腰が引けたが、産業革命時の香りが残る興味深い要素もそこかしこに見られる。元倉庫らしきレンガアーチが連なるファサードの建物の屋根をぐにゃりと連続的に迫り出させてショールームにしたり、ガスホルダーの囲いはオリジナルのまま残して中身を集合住宅にしたり。あざといほどに過去の履歴を残しながら、徹底的に現代にマッチするように仕上げられている。

一昨年の年末時点の話だけど、エリア全体の再開発はまだまだ途中段階のようで、あちこちにタワークレーンがそびえ立っていた。オリンピックとかブレグジットとか激変を経ているロンドンの街は、本当に激しく動き続けているのだなあと実感できた。