はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

地形

地形を無視する技術

先週末ははじめて新東名を通ってみた。こりゃ走りやすい道だね。もともと3車線を想定しているため幅員がやたら広いし、設計速度が高く設定されているので道路線形に全く破綻がない。舗装や照明などの保全レベルもすごく高いし、大断面のトンネルは圧迫感はな…

つづら折り

こんなつづら折りのスロープってどうよ、って話を書こうとしたんだけど、「つづら折り」の「つづら」って、「舌切りすずめ」に出てきたカゴのことなんじゃないのかとふと思い、どこがジグザグに上り下りするの要素なんだとすっかり言葉のゲシュタルト崩壊が…

人工柱状節理

もしかすると「お、このブログで自然景観とは珍しいね!」と思う方がいらっしゃるかもしれないが、今回もちゃんとスーパースケールの人工景観の話である。写真中央の倒木が気になるけど、そこには触れない。 標高300mを越える山の頂部をよく見てみると、いか…

房総の荒々しさ

鋸南市の採石場がかっこいい。千葉にこんなキレのあるワイルドな眺めがあるなんて、これまで知らなかった。少し前に体験した採砂場に引き続き、またしても千葉を見直すことになった。こうしたネタをうまく編集して、房総産業景観ツアーをまじめに企画してみ…

次元を越える理解

先週の土曜日、神保町にある建築系書店で有名な南洋堂で開催された「スリバチカフェ2」に行ってきた。『東京「スリバチ」地形散歩』に続く、『東京人8月号 特集:東京地形散歩』の出版記念イベントである。販売されている書籍やマニアパグッズは当然持ってい…

信じがたい調和

たまには普通の観光情報を。 イタリアのリグーリア海岸にあるリオマッジョーレという村は、色とりどりの家が急斜面にびっしり貼り付いる。その混沌は不思議な調和を生み出し、現実感がない風景の中に身を投じることが出来る。 この村の路地は、車はもちろん…

天駆ける船

ベルギーのストレピ・テュー・リフトに続く運河橋。運河に架かる橋ではない。運河の橋なのだ。これ、合成写真じゃないからね。 これまで蓄積してきた知識や体験から常識として構築してきてしまった概念、つまり「思い込み」が覆されるとき、高揚しつつも心地…

新婚旅行

もう30年ほどの付き合いがある中学校時代の同級生が、新婚旅行で欧州に来ている。彼らを祝福するためのプランを、欧州を肌で感じられること、記憶に残る貴重な経験となること、自分がアテンドできることといったコンセプトであれこれ考えてみた。その結果組…

壮麗な彫刻

ガルツヴァイラー露天掘り炭鉱で見た、延々と続く大地の彫刻。こんなとんでもないスケールの作品はこれまでに見たことがない。いやもう理性が吹っ飛ぶくらい感動的だよ。 ドイツは環境先進国と言われているけど、決して盲目的に自然保護をしているわけではな…

大堤防

延々と続く直線によって、海がぱっくり仕切られている。モーゼもびっくりの壮大な光景だ。 これは高潮対策と干拓を目的につくられた全長約32kmの築堤で、1932年に竣工した。アフスライトダイク、何度発音しても忘れてしまう名前だが、意味はそのまま締め切り…

金持ちの国のスリバチ

ベルギー、ドイツ、フランスに囲まれた神奈川県ほどの大きさのルクセンブルク大公国は、ガイドブックにもたいして情報が載っていないマイナーな小国だ。グーグルパブリックデータによると、総人口はおよそ50万人。神奈川県のおよそ900万人と比べると、いかに…

斜面の水槽

先日紹介したロンキエール・インクラインを上から見たところ。船がまるごと浮かぶ巨大な水槽が、水を張った状態で斜面の中腹に停止しているのがわかる。巨大って言っても、この写真じゃスケール感がまったく伝わらないだろうけど。実際に動いているところも…

ストレピ・テュー

ロンキエールのばかばかしさもすごいが、そこから南西に約20km移動したところに、さらなるボスキャラが待っている。ストレピ・テュー・リフトだ。細かい説明は、例によって全部カワウソ写真家佐藤さんにやっていただくことにして(Das Otterhaus 【カワウソ…

ロンキエール

欧州に来てみて、可動橋やら閘門やら、水運にまつわる構造物があたりまえのようにあることにびっくりした。日本における内陸水運はモータリゼーションの波にさらされて消滅の一途をたどったのに、欧州では現在も平然と機能しているんだね。オランダのように…

ダッチ土木の伝統

せっかくオランダに来たからには、いかにもオランダらしい風景をしっかり見ておかねばなるまい。そこで先週末、ユネスコの世界遺産にも登録されているキンデルダイクの風車ネットワークを見に行ってきた。「世界は神がつくったが、オランダはオランダ人がつ…

広い空

オランダの空は北海道のそれと同じように、とても広く感じる。晴れているときはもちろん、曇っているときも広く感じる。室内から外の様子を見たときや、建物越しに見える空も広く感じる。空が広く感じるって、どういうことなんだろう。

地形の記憶

父親の仕事の都合で、幼年期に長野県松本市で過ごしていたことがある。数年前に松本を訪れたついでに、30年以上前のかすかな記憶を頼りに市内を散策してみた。 行く前は色あせた断片的なシーンしか思い出せなかったのだが、現地に行ってみると“かつて自分…

棚田式立体駐車場

京都を訪ねる機会を得たので、市内をすこし散策した。盆地になっている市街地の辺縁部には結構な坂があって、景観の変化が面白い。そこでは駐車場も面白い。

都内の大平原

中防見学ツアーに参加させていただいた。中防とは中央防波堤埋立処分場のこと。早い話が、東京湾にあるゴミによる埋立地を見学してきたわけだ。 これが、予想以上に面白かった。充実した見学内容や聞き応えのあるガイドトークなどへの満足度も高いけれど、目…

インフラの積層

御茶ノ水の聖橋から見える風景は、昔から好きだった。思い起こせば中学生の頃から御茶ノ水の楽器店と秋葉原の電気街を目当てに、このあたりをうろついていた。この風景は自分の中に、大都会のイメージとしてしっかり刻まれている。 当時は都市や地形やインフ…

山の中のJCT

首都高から中央自動車道を西進してしばらくすると、高尾山の中に入る。 カーブが多い登り坂を緊張しながら走っていると、巨大な構造物群が忽然と姿を現す。豊かな緑に囲まれたこのジャンクションは、異様な存在感を放っている。 構造物が周辺環境から完全に…

直交の街

現地調査時にはいつも、じっくり地図を見る。地図を見ながら風景を想像する。土地の利用や道路の形状で、なんとなく雰囲気がつかめるものだ。しかし、それがうまくいかない場合もある。サンフランシスコ周辺を広域的に見ると、その海岸線の形状から、いかに…