はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

グリーンランド上空にて

羽田とヘルシンキを結ぶ便は、行きも帰りも北回りルートだった。言うまでもなく、現在はロシアの上空を迂回して、距離的にも時間的にも遠回りせざるを得ない。もしかして帰りは南回りになって、世界一周ができるんじゃないかなと期待を込めて思っていたのだが、機長のアナウンスによると、その時の気象条件によって北か南かのルートが選択されるとのこと。結果的に北極付近を飛ぶという、これまでにない体験ができたことをよろこびとして受け止めたい。長時間のエコノミークラスは、想像通りいろいろなつらさがあったものの。

過去に見たシベリアの地形もたいへん楽しかったのだが、今回はグリーンランド北縁の地形を雲の隙間から楽しんだ。植生のない土壌むきだしの大地、淡いグラデーションの文様を浮かび上がらせた氷河、地層が露わになった断崖絶壁、凍てついた川や海の表層などを観察することができた。手つかずの自然の様相は、やはり凄みがあるね。地球全体で進行している温暖化は、どんな変化をもたらしているのだろうか。

話は変わるが、今回乗った飛行機はボーイング787だった。機内の湿度やシートピッチや荷物スペースなどは十分満足できる環境なわけだが、個人的に苦手なのが、窓の電子シェード。ボタン操作で5段階の濃度を選択できるのだけど、その変化がじんわりしすぎていて、窓の外の風景を眺めるときにストレスになってしまうんだよな。まあたいした話ではないけれど。