女川原発2号機が再稼働したとのこと。2011年の巨大地震と津波によって外部電源の喪失、地下設備の浸水などの被害が出て稼働停止し、高さ29mの防潮堤を整備するなどの安全対策工事を進めて、2020年に原子力規制委員会の審査を通過した。ここに至るまでに、ずいぶん時間がかかったのだなあと感じる。いろいろ思うところがあるが、エネルギー資源に乏しい日本での原子力発電資産の有効活用は、現状ではやはり必要ということなのだろうね。関係者のみなさま、完全に安全な運転を、どうぞよろしくお願いします。
そのニュースによって、2019年の夏に女川を訪れたことを思い出し、このブログに記録していないことに気付いた。その日は雨と霧の中で女川原子力PRセンターに行き、他の訪問者がひとりもいない状況で館内展示をたっぷり見学した。その後、新たに整備された女川のまちを散策し、食事をし、宿泊した。
津波で壊滅的な被害を受けた女川市街地は、緩やかに傾斜するかさ上げが施された場所に、活性化のコアとなる商業施設や水産体験施設などを集約したエリアが整備された。周辺部に点在する無料公共駐車場から中心部に人が誘導される構成、居心地のよい通り抜けの小路やたまり空間がちりばめられた空間づくり、質感が高いレベルで整っている建築や街路のデザインなどがとても印象的だった。海に向かって真っ直ぐ下るシンボルロードに、復興への強い意志を感じた。
この街では、東日本大震災の津波と同程度のレベル2津波に対応する防潮堤の整備を行わず、明治三陸津波と同程度のレベル1津波に耐える防潮堤に留めている。メモリアル公園や漁港施設はもともとの地盤高として、レベル1を越える大きな津波が来た場合には被災する前提にしている。駅や商業地などのエリアは緩やかに高台の住宅地に接続する盛土しているものの、やはり被災する可能性がある。もちろん住宅地のエリアは、浸水しない高さまでかさ上げされている。
人口減少に見舞われながらも、海と共存することを選択した復興まちづくり。その背景にある原子力発電施設。あれからどうなっているのか、また見に行きたいな。