はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2011-01-01から1年間の記事一覧

コンテナハウス

コンテナのことが好きになるにつれ、一度はコンテナの中で暮らしてみたくなるのはひとつの方向として正しいと思う。 アムステルダムの中央駅から「NDSM-werf」行きの無料の渡し船に乗って‎、10分程度のクルーズをきゃっきゃと楽しんでいると、このコンテナ学…

コンテナスケープ

バルセロナ市街地を一望できるモンジュイックの丘の一番高い場所には、モンジュイック城がどんと構えている。この城は軍事要塞として使われ、監獄として使われ、現在は一般開放されていて一部が軍事博物館として使われている。市内からは、地下鉄、ケーブル…

アルプスの少女

まだ寒い頃だったある日、オランダのテレビのチャンネルを何気なく変えていたら、見たことのある絵が目に飛び込んできた。ハイジだ!ハイジがオランダ語をしゃべってる!びっくりすると同時にうれしくなって、テレビにかぶりついて見続けてしまった。 久しぶ…

グエルさん家

バルセロナでは調子に乗ってガウディ関連施設を6つも見に行ってしまった。まるで建築マニアの建築巡礼だけど、なにしろガウディの卓越した造形力や空間構成力には、建築素人の僕にもひしひしと伝わる凄みが十分にあるので、飽きることはなかった。しかしま…

真っ直ぐではない塔

バルセロナのモンジュイックの丘にあるカラトラバがデザインした通信塔。これが、想像以上にさわやかなかっこよさだった。 カタルーニャの突き抜けた青空のせいなのか、オリンピック会場のばかばかしいほどの空虚感とのマッチングに感激したせいなのか、前日…

ミニマルブリッジ

ヴァルス村を散歩してたら、あまりにもすてきな歩道橋にばったり出くわして、腰を抜かしそうになった。これは一目惚れってやつだね。 フランジを露出させていない耐候性鋼板の箱桁、ウェブに取り付けられて桁を薄く見せているシンプルな高欄、わずかにウェブ…

世界一の壁

スイスにあるグランド・ディクサンス・ダムは、世界一大きい重力式コンクリートダムだ。ということは、世界一大きいコンクリート壁と言ってもいいのだと思う。まあしかし、世界一かどうかはなんてことはどうでも良くて、とにかくこの圧倒的なコンクリートに…

ひねり技

ロッテルダム近郊の水路に架かる自転車と歩行者のための橋。とても現代のオランダらしさを感じる。経済的合理性や典型的な美とはまた少し違う方向、ジョークのように見せかけて本気でやるというアプローチ、失敗してもそれほど気にしない寛容さ。いやほんと…

ゲーテアヌム

「シュタイナー教育」というのが結構流行っているようで、時折噂を耳にする。ウィキペディアには「シュタイナー教育の目指すものは、宇宙にある諸事物の理念を、人間と結びつけて理解し、それによりミクロコスモスとしてのわたしを活き活きとした理念で満た…

愛される白いアーチ

前回に引き続き、マイヤールが設計したサルギナトーベル橋。1930年につくられたこのコンクリート橋は、アーチのスパンと谷の深さがともに90mというかなり大きな規模の3ヒンジアーチ構造で、幅員は3.5mと狭い。鉄筋コンクリートという新しい材料の可能性を一…

桁の中の礼拝堂

ハイジの舞台になったマイエンフェルト近くの山奥に架かるマイヤールのサルギナトーベル橋は、橋に関わる者にとって極めて重要な聖地。巡礼者も数多く、素晴らしい視点場が3カ所ほど用意されている。それに加えて、なんとアーチリブを登って桁の中へ行くこと…

スイスダム巡礼

スイスには橋梁巡礼に来ていると言ったけど、実はもうひとつ大きな目的がある。それはダム巡礼。萩原さんの素晴らしい記事(スイスのダムめぐり・前編、世界一のコンクリートダムを見てきた、ジェームス・ボンドがバンジーしたダム)を拝見してからスイスの…

スイス橋梁巡礼

今回の橋梁巡礼は、いよいよスイス。満を持して、と言いたいところだけれど、行程の組み立てが非常に難しく、かなりハードな巡礼スケジュールになっている。なにしろ、ロベール・マイヤール、クリスチャン・メン、ユルグ・コンツェットなど、スイスには見る…

巨大重機祭り

大事なことを書き漏らしていたことに気付いた。1ヶ月以上前のことになるが、デッサウへ行ったのはバウハウスの見学のためと見せかけていたのだけど、真の目的は「フェロポリス」を訪れることだった。 ここは、かつて露天掘り炭鉱だった場所を産業テーマパー…

かっこいい技術

マインツの北隣、ヴィースバーデンに架かるスパン約100mのアーチ橋。1967年当時の最新技術である軽量コンクリートを用いたPC構造および両側からの張り出し工法による架設といった点で、技術的にも価値があるらしいのだけど、見た目も非常に素敵。 地覆のライ…

天駆ける船

ベルギーのストレピ・テュー・リフトに続く運河橋。運河に架かる橋ではない。運河の橋なのだ。これ、合成写真じゃないからね。 これまで蓄積してきた知識や体験から常識として構築してきてしまった概念、つまり「思い込み」が覆されるとき、高揚しつつも心地…

新婚旅行

もう30年ほどの付き合いがある中学校時代の同級生が、新婚旅行で欧州に来ている。彼らを祝福するためのプランを、欧州を肌で感じられること、記憶に残る貴重な経験となること、自分がアテンドできることといったコンセプトであれこれ考えてみた。その結果組…

意図のない絵画

最近になって我が家の近くに出現した、高度に抽象化された壁画。とても柔らかい色調と構図とタッチから、確かな完成度を感じることができる。落書きと管理者の絶え間なき抗争の痕跡が、こんなに素敵だなんて。杉浦さんに撮ってほしいな。

二重らせん展望台

シュトゥットガルトの公園の高台にあるキレスベルクタワー。なんなんだこの浮遊感は。二重らせんの階段によってより不思議な雰囲気が増している。見ているだけでひやひやするが、登ってみるとさらにひやひやする。だって、結構揺れるんだもの。 よく見ると、…

時の刻み方

マーストリヒトにある古い教会をリノベーションした書店。教会特有の雰囲気と書店特有の雰囲気が絶妙に調和していて、すごく豊かな気分になれる。3層になった書架にはたっぷり書籍があるし、奥にはカフェもあるし、一日中ここにいたくなる。日本語の本はなさ…

ドなう

ドイツ南部に行った目的は、シュトゥットガルトおよびその近郊の橋梁巡礼、ミュンヘンのドイツ博物館見学、そしてドナウ川で「ドなう」とツイートすることの3点であった。 地上絵師の石川さんからのリクエストである「ドなう」を実現するために、どの街を訪…

博物館でのぞき

ドイツの科学技術を結集した博物館がミュンヘンにある。その名も「ドイツ博物館」。ここにはなんと古今東西の橋梁建設技術の常設展示があり、その目玉として実際に歩いて構造を体験できるシュライヒの歩道橋が架けられているってことは、「ブリュッケンバウ …

森の中の空中回廊

ヨルグ・シュライヒが設計したシュトゥットガルトにあるケーブルネット構造のLodzer歩道橋は、アプローチ部分も素晴らしい。ここを歩くと、まるで森の木々の間を浮遊しているような不思議体験が得られる。 結構な高低差を長い延長のスロープでつなぐために線…

細い脚

シュトゥットガルトから南西に約50km、ネッカー川がつくった谷を跨ぐアウトバーンの高架橋。この橋脚、不健康なスーパーモデルのように痩せ細っているじゃないか。やけにかっこよすぎるけど、大丈夫なのか。 なお、桁は現在絶賛塗り替え中。桁は極めて鮮やか…

壁超え

ノルマンディー橋の信じがたい眺め。高低差およそ60mの壁を越えていく車両たち。航路を越える道路という難題を視覚化するとこうなる。 ノルマンディー橋の北側には料金場がパーキングと併設されていて、その屋根の上を歩くことができるので、このようなおか…

念願のサーベイ

セーヌ川の河口を跨ぐノルマンディー橋が供用したのは、1995年のこと。個人的な話で恐縮だが、この年は僕がデザインの修士を修了し、土木の設計会社に就職した年でもあるので、この橋のことがとても印象に残っており、いつか現地に見に行ってみたいとずっと…

プチサヴォア邸

せっかく車でパリに来たのだからと、建築巡礼を気取って、郊外にあるル・コルビュジエによる超有名物件の「サヴォア邸」に行ってみた。 前日にグーグルで調べた場所にはやや貧相な白いゲートがあって、本当にここが入り口なのかどうか、思わずあたりを見回し…

ルーアンのタワーブリッジ

フランス・ノルマンディー地方の中心都市であるルーアンは、ジャンヌ・ダルクが処刑された地として有名で、まあまあ内陸部に位置しているにもかかわらず、パリの外港としてセーヌ川の水運で栄えた都市。どんだけ港町かと言うと、こんなとんでもない橋がつく…

板のバックステイ

ネイ事務所の方から、KortrijkにあるS字の線形が美しい歩道橋College橋のすぐ近くに最近できた道路橋はグレイシュ事務所絡みだというお話しを伺っていたので、しばらくネット上で調べていた。しかし、2010年秋に開通したばかりという新しさな上に、英語と蘭…

円筒の夢

パリのシャルルドゴール空港ターミナル1はかなりかっこいい。1974年につくられた円筒形のターミナルビルとそれを取り巻くように配置されたサテライトは、拡張性が全くなかったり効率が悪かったりする面も多々ありそうだが、いま見てもとても斬新。その当時…