はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2011-01-01から1年間の記事一覧

ブンカー美術館

今回のベルリン訪問の中で、最も感激したのがSAMMLUNG BOROSという2008年にできた現代アートの美術館。Bunkerというコンクリートの要塞?防空壕?トーチカ?をリノベーションしたもの。外壁の厚さはなんと1.8mという、なんともばかばかしい元軍事施設。最大…

グレイシュの橋

先日、オランダ南端のマーストリヒトに行ったときに、きれいなアーチ橋を見かけた。構成要素の基本形態とそれらのおさまりがとてもシンプルにまとまっていて、すっきり爽快さわやか系歩道橋といった印象を受けた。 どなたの設計なのかなと気になって調べてみ…

復活した博物館

ベルリンの街はどこをどう見ても戦争の傷から逃れられないようになっている。そこに気がつくとどうしても気分が重たくなってしまうが、それを乗り越える強烈なパワーも同時に感じられるので、感情が激しく揺さぶられる。 2009年10月に70年ぶり再開した新博物…

トイレで食事

この鉄道高架下のハンバーガー屋さんの建物は、もともと公衆便所だったのだそうな。なんと大胆なコンバージョン。時間や空間が様々な形で交錯しているこの街は、幻惑を伴う驚嘆に満ちているね。 このような普通の観光旅行ではお目にかかれないマニアックな体…

ベルリンのイメージ

僕が勝手にイメージしていたベルリンの街には落書きがつきまとっていたのだけれど、これほどとは思わなかった。甘く見ていてすいませんでした。壁という壁が幾重にも塗られた少々クオリティーの低い落書きによって隙間なく埋め尽くされていて、その空間はな…

近代デザインの聖地

デザインに関わる者として、この地を訪れないわけにはいかないだろう。そして、教科書と同じ構図の写真を撮らなければならないだろう。そんな義務感を感じながらバウハウス・デッサウを訪問したのだが、案の定がっちりはまって大興奮。なんだかんだで聖地巡…

電力畑

ベルリン近郊の上空にて。牧歌的な農地が風力発電の畑として二次的に利用されている。ドイツが再生可能エネルギーに力を入れているということがひしひしと伝わってくる眺めだ。こうした風景は日本でも身近なものになっていくのだろうか。

ホワイトアスパラ

アイントホーフェンからアムステルダムへの高速道路を走行しているとき、ユトレヒト付近でちらちら見えていた妙に存在感のある斜張橋が気になったので、あらためて見に行ってみた。 いやあすごいね、スチールでもここまで細やかな造形ができるのかと感心した…

掘削の現場

またしてもドイツのガルツヴァイラー露天掘り炭鉱の見学バスツアーに参加してきた。今回は前回よりもさらに深い現場に潜入し、なんと、あのバケットホイールエクスカベーターが実際に稼働している様子を拝むことができた。いやもう尋常じゃない迫力。こんな…

異種格闘技戦

デュッセルドルフを流れるライン川に架かるハム・ノイス鉄道橋。メインスパンをバスケットハンドル型のアーチリブで補剛している2径間連続ワーレントラスという、極めてユニークな構造。アーチとトラスの緊張感みなぎる異種格闘技戦だ。 こんなややこしい混…

コルビュジエ団地

もう1ヶ月以上も前の話ではあるのだけど、フランス南部の旅で最後に行ったのが、ル・コルビュジエによるマルセイユのユニテ・ダビタシオン。何年か前に森美術館でやったコルビュジエ展に展示されていた実物大のユニテの部屋にかなり衝撃を受けたので、せっ…

ツォルフェアアインの多様性

エッセンのツォルフェアアイン炭鉱はかなり広い上に、様々なコンテンツが詰め込まれているので、しっかり満喫するには丸1日かかるよ。こちらの案内図(pdfファイル)を見ていただくとわかるように、大きく3つのエリアに分けられている。 メインは赤で示され…

逆アーチ風トラス

エクサンプロヴァンスの近くにあるViaduc de l'ArcというTGVの鉄道高架橋。Ventabren Viaductについて調べていたときにたまたま見つけたので立ち寄ってみた。バスケットハンドル型の鋼アーチをひっくり返したようなパイプトラスの上にRC床版を載せた橋。逆さ…

格子の桁

アヴィニヨンのローヌ川に架かるラティストラスの鉄道橋。おそらく鉄の扱いにまだ手慣れていない時代のものなんだろうね、重厚感とか存在感がすごいんだけど、同じ部材が等間隔で繰り返されるミニマルな格子模様がなんとも心地よい。

2つのS

ボーフムの工場跡地を活用した公園の端部に、2つの斜めの主塔からS字の桁を片面で吊るリングガーダー橋がある。かなり素敵。結構高い位置で道路と鉄道を軽やかに跨ぐ体験はなかなかのものだ。詳細はこちらからどうぞ。 schlaich bergermann und partner : B…

宙に浮くアール

きれいなカーブを描く鋼箱桁が浮かんでいるこの光景、不思議でしょうがない。エンジニアリングに対する絶対的な信頼がなければ、橋脚のないこの橋を渡ることはできないよね。いやほんと、うっとりするよこの橋。ドイツの橋梁デザインは、本質を突きながらも…

飛び地の聖地

だいぶ前のことになるが、グーグルマップでオランダを眺めていたところ、ベルギーとの国境がなにやらおかしなことになっている箇所を見つけた。ん?なんだろうこのノイズみたいなものは?と思い、おもむろに拡大していったのだが、それはますます不可解な図…

すてきなTシャツのご案内

あのマニアパレルさんが、またしてもすてきなことを企んでいる。どんな図案であれ、個人的にぜひとも手に入れたいTシャツなので、ご本人の製作モチベーションを上げるためにも図案投票にご協力ください。購入義務などはありませんので、どうぞお気楽に。 バ…

音楽と建築

先週の水曜日、自宅から歩いて10分程度の教会で行われた alva noto + ryuichi sakamoto "s" tour は、想像をはるかに超えてとんでもなく楽しかった。なんで坂本龍一はアムステルダムでもロッテルダムでもなくアイントホーフェンを選んだんだろうね。不思議だ…

おしゃれ炭鉱

エッセンのツォルフェアアイン炭鉱は、いちいちかっこよくて目のやり場に困った。行く前はそれほど期待していなかったんだけど、さすがは世界遺産に登録されているだけのことはある。バウハウス丸出しの各種建屋、シンボリックな立坑櫓、廃墟感あふれるコー…

ブルー・ジラフ・カルテット

アントワープ港で見かけた4匹の青いキリンたち。黄色いおなかと足下がとってもキュートだけど、かなり実力のあるコーラスグループだと思われる。

映画の中の橋

橋はよく映画に登場する。単に絵になるということの他にも、此方と彼方を結ぶとか困難を克服するとか道を外れることができないとかの象徴的な意味合いが含まれていたり、効果的な舞台装置として登場することもある。 六角断面の橋脚とプレキャストパネルのウ…

かっこよさに胸焼けする駅

カラトラバによる1994年完成のリヨン・サン=テグジュペリTGV駅。せっかく近くまで行くのだからと、ついつい行程に含めてしまった。近くと言ってもガラビとは300kmほど離れているのだが。 この駅も言葉を失うほどすごかった。カラトラバ特有の造形言語とも言…

ひまわりの種がある空間

中国の有名アーティストである艾未未(アイ・ウェイウェイ)が、4月の頭に中国公安当局に拘束された。どうやら脱税の容疑ということらしいのだが、これまで政府を批判してきた人物であるだけに、真相はわからない。先月ロンドンに行ったとき、たまたまラッキ…

壮麗な彫刻

ガルツヴァイラー露天掘り炭鉱で見た、延々と続く大地の彫刻。こんなとんでもないスケールの作品はこれまでに見たことがない。いやもう理性が吹っ飛ぶくらい感動的だよ。 ドイツは環境先進国と言われているけど、決して盲目的に自然保護をしているわけではな…

露天掘り炭鉱ぐるり見学バスツアー

日曜日はドイツのRWEという電力会社が行っている露天掘り炭鉱見学バスツアーを下見してきた。結論から言うと、リスクを冒しても見に行くべきだね。わざわざ日本からこのためだけに来るのは、少々ギャンブル性が高いのだが、当たれば間違いなく大満足できる。…

三日月アーチ

エッフェル社がつくったガラビ高架橋は1884年に完成した。パリのエッフェル塔の5年前のことだ。この時代につくられたのに、装飾が全く施されていないことに驚かされる。エッフェルは機能主義の先駆けだったのか、単なるケチだったのかはわからないが、ともか…

セクシーな脚

ミヨー橋は橋長が2,460mもあり、道路や鉄道や河川など様々な交差物件を跨いでいるにもかかわらず、そのスパン割は204m+6@342m+204mと極めて整っている。平面線形はR=20,000mの緩やかなカーブを描いており、縦断線形は約3%の一定勾配で北側に下っている。この…

美しい橋

僕は「美しい」という言葉を普段はあまり使うことができない。なにかを「美しい」と形容したとたんに、その対象の意味が軽くなってしまうような気がしてびびってしまうのだ。しかし、フランスの南部のタルン川渓谷に架かるミヨー橋を見たときには、思わず「…

キリスト生誕以前の橋

今から2000年以上も前に築かれた水道橋、ポン・デュ・ガール。いやもうこれすごい。ローマ人はなんてものをつくってしまったんだ。しかもそれがほぼ完全な姿で残っているなんて。あまりの神々しさに完全に気圧されてしまった。人類はこの2000年間ほとんど進…