はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

自然と人為の境界

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気仙沼市の本吉地区を流れる沖ノ田川の河口部。2019年にはじめて訪問して衝撃を受けたが、その時はまだ工事中だったため、冷たい小雨が降る中で、あらためて見に行ってきた。

高さ約10mの堤防は、コンクリートでがっちり構築されている。もちろん川を遡上する津波から守るべきものを守るためだが、そこにある水の流れは生物の生息や人々のレクリエーションをきっぱり拒絶している。これは川と呼んでもいいものか、疑問に思わざるを得ない。

その一方で、背徳感とともに、かっこよさを感じる。自然の超絶な力に対して必死に抗う人為の眺めには、ある種の潔さや力強さが宿るのかもしれない。そう思いつつも、この姿は多くの人に望まれるものではないだろう。人間にとって、なんとも悩ましい風景だ。