はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

街路からのまちづくり

先日、3年ぶりに松山に出張してきた。その際に、偶然通って気になった「ロープウェイ街」を再訪した。この街路は、2006年に再整備されたもの。電線類の地中化、バリアフリー化、スラローム線形の導入などとともに、2 車線を1車線に減らし、自転車道を設けて歩道を拡げる道路空間の再配分が行われたという。沿道の商店や飲食店には、緑色のオーニングテントが取り付けられ、おそろいの楕円形の看板とともに街並みの統一感を生み出している。

整備の結果、来訪者の増加や周辺の地価上昇など、大きな効果が得られたとのこと。局所的な成果もさることながら、この後のまちづくりに大きな影響を与えたことが素晴らしい。それは、2009年の道後温泉本館周辺地区、2017年の花園町通り、そして現在進行している松山市駅前広場といった「歩いて暮らせるまちづくり」を軸にした街路整備事業。社会実験、ワークショップ、デザインガイドラインなどによる合意形成のノウハウを蓄積し、街路からまちづくりを展開している。一朝一夕でできることではないだけに、重みがあるなあと感心した。