はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

北欧らしい図書館

ふと気がつくと、もう年末。ご多分に漏れず、いろいろ切羽詰まっている。すいませんすいませんとつぶやきながら、やるべきことを視界に入れないモードに陥っている。そんな心境だと、無意識的に現実逃避をしてしまうよね。つい先ほども、うっかり「私的ドボク大賞」の季節がやってきたなあ、過去の審査状況はどんな感じだったかなあなんて思い、過去のブログを読みふけってしまった。そこで昨年の夏に訪れたヘルシンキ中央図書館「オーディ」のことを書き損じていたことを知り、いま残しておかねばならないという現実逃避由来の強迫観念に囚われるに至った。

フィンランド独立100周年を祝う「国民への贈り物」として2018年につくられたオーディは、その内外におおらかな曲面が多く用いられた特徴的な建築で、いかにも北欧らしく随所に木材が使われている公共図書館。

1階はイベントが行われるオープンスペースやカフェや映画館などがあり、2階は3Dプリンターや音楽スタジオなどもある広々としたクリエイティブスペースになっている。3階は約10万冊の本が低い書架に並ぶ「本の天国」として、読書や交流が楽しめる。特に1階と3階は、柱がない極めてオープンで自由度の高い空間になっている。

なんというか、フィンランドが誇る教育水準の高さや社会民主主義的福祉国家の片鱗を見せつけられた気分になった。もちろんいい意味で。利用者はかなり数が多く、その属性は老若男女まんべんなく多様であるように感じた。情報のありようが変化し続けている現代において、公共図書館の概念は顕著に拡張しているように思う。設置者のスタンスが如実に現れるよね。