はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

転換のシンボル

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あけましておめでとうございます。本年も本ブログを生暖かく見守ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。僕は新年早々、休暇をフル利用して海外逃亡しており、スペイン北部のバスク地方とリオハ地方を巡っている最中です。まあ自慢なわけですが。

今回は日本を夜中に出発し、フランスのシャルル・ド・ゴール空港を経由して翌日朝方にビルバオに入った。機内ではまともに寝ることができなかったため、到着時には朦朧としていた。ところが、ビルバオには体験すべきものがたくさんありすぎて、ビシッとせざるを得なかった。いやほんと長い一日だったな。

最初にどうしても行きたかったのが、ビルバオ・グッゲンハイム美術館。フランク・ゲーリーによって設計され1997年にオープンした、やたらとエグい建築物。いやもう、ため息の連続だった。ゲーリーだけでなく、さまざまな関係者の怨念のようなものを強烈に感じる空間と造形だった。やっぱり、実際に体験してみないとわからないことだらけだね。こんな建築物を実現させた街はすごい。

ビルバオはかつて製鉄や造船などで栄えていたが、1980年頃にはすっかり疲弊していたらしい。そんな工業依存都市から脱却するために取り組まれたのが、文化とインフラへの投資。その象徴がこの美術館なわけだ。これが突出しているように見えるけど、都市全体のコーディネートを考えた総合的な取り組みがしっかり存在し、その根底にはバスク文化があるってことがとてもよく感じられた。すっかり観光都市として成熟してきたのは、一過性のイベント的な仕掛けではないためだと強く感じた。ここらへんは帰国してからもっと調べて、深く掘り下げて理解したいところだな。

ビルバオ・グッゲンハイム美術館の素晴らしさは、外側と内側でうまく連続しているゲーリーの造形の凄まじさってのもあるけれど、川や地形との関係も極めて重要。どこからでも見えて、どこからでもワクワクできる。ちょっと浮かした川沿いの桁橋は最高の視点場であり、最高のシークエンスが体験できるし。

もちろん中身もすごい。特にリチャード・セラによる鉄の街・ビルバオにふさわしい巨大鉄板作品は、自分の感覚がおかしくなるよろこびを感じた。ドボク感が強いのはスケールアウトした空間構成からかな。いずれにしても、しっかり反芻したい。