はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

北欧の埠頭の橋

フィンランドのヘルシンキとエストニアのタリンは、2時間強のフェリーで結ばれている。ヘルシンキの玄関口となるウエストターミナル2は、ガラスと木材がふんだんに使われた北欧らしさに溢れる素敵な建物だ。それ以上に、トラムから見えた近くの真新しい橋が気になって仕方なかったので、重たいスーツケースを引きずりながら桁下まで行ってきた。

Atlantinsiltaというこの橋は、橋長106m、幅員26.6mで、2021年につくられたようだ。コンクリートの薄い桁(中空床版か?)と鋼製のV字橋脚(ステンレス製か?)が剛結する、とてもスレンダーなラーメン橋。歩車道に加えてトラムも通っている。桁断面、桁と橋台とのおさまり、高欄や照明などの橋面工、排水管の処理などは極めてシンプル。それだけに、独特な橋脚の造形が引き立っている。どこをどう眺めても現代的なかっこよさが滲み出ており、北欧のデザイン水準の高さにあらためて感激した。

港湾や空港は外に開かれた場所ゆえに、デザイン面での見どころに溢れていることが多い。そんなときは、テンションが上がりっぱなしになっちゃうのだけれど、必然的に荷物が重くなりがちってのが困りもんだよね。この橋に出会ったときも、対岸に行くのをあきらめちゃったもんなあ。