はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

海岸のクローン兵

日本は海に囲まれた島国である。しかも、結構ひょろ長い。このため、国土の外周全体が津波、高潮、波浪といったジオスケールの自然現象に晒され、海岸線の浸食、砂浜の消失、交通の分断、家屋の流失、人命の喪失などの被害が古来より延々と繰り返されている。ゆえに、我々の日常を維持するには、膨大な延長の海岸の防護が不可欠なのだ。

そのために用意されたのが、コンクリートでつくられた消波ブロックと呼ばれるクローン兵たちだ。彼らを集合体として配備し、陸側には防波堤や防潮堤、沖合には離岸堤や人工リーフなどを構築することが多い。港湾のエプロンで整然と隊列をなして出撃の準備をしている光景に出くわすことがあるが、いったいどこの海岸を守りに行くのだろうか。