はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2008-01-01から1年間の記事一覧

横浜クルーズ

BOAT PEOPLE Association主催の横浜キャナルクルーズに参加させていただいた。横浜の隙のないよそ行きの顔から始まり、隙だらけの素の顔、水路を横断する様々な橋梁、上空に架かる艶めかしい高架橋、色とりどりのコンテナヤード、工場萌えな景観に至るまで、…

農の風景

自分の場合、大自然の眺めもいいと思うけど、農地の眺めのほうが好きだったりする。たぶん、人の手が加わっているからだと思う。 久しぶりに美瑛の丘を眺めてみて、やっぱりすてきな風景だなぁと感じた。同時に、この風景がこれからどう変わっていくのかとい…

土木ツアー

先週末は遅い夏休みを無理やり取って、北海道に行ってきた。旅の主な目的は、かつて札幌で働いていたときに設計に関わった土木構造物のその後を確認して、懐かしい思い出に浸ること。ついでに、ルート付近にある様々な土木構造物や土木的空間を見て回った。…

巨大コンクリート塊

昨日、久しぶりにダムをじっくり鑑賞してきた。重力式コンクリートダムのド迫力は、やっぱりすごいね。 この形式は、コンクリートの重量によって水圧を支えるというもの。極めてシンプルな仕組みだ。日常的に経験するものごとのスケールが、とんでもなく大き…

一周忌

昨年の9月11日、ジャズ界でひとつの時代を築き上げたジョー・ザヴィヌルが亡くなった。享年75歳。訃報に接してから数日の間、何もする気がなくなったことを覚えている。それほど自分の中では大きな存在である。なにしろ僕は中学生のときにはまってから、今で…

謎の数列

ときどき上海の街を徘徊しているわけだが、壁面が気になってしかたがない。意味不明の数列が描かれているのを、頻繁に目にするので。 この写真は、とりわけ高密度に配置された壁面。決してフォトショップでコラージュしたわけじゃない。ほんとにこんな風にス…

音楽的室外機

上海の見所のひとつに、建物の外壁に取り付けられた空調の室外機があるわけだが、今回の旅でも街に出るたびに鑑賞している。ランダムに生えていて建物の外観を台無しにしているものもすてきなんだけど、整列していることで表層に新たなレイヤーを生み出して…

生活の路

上海には古くからある未整理の集落が、ちょこちょこ点在しているようだ。そのうちの、川と高速道路と再開発地区に取り囲まれたエリアに行ってみた。もちろん一人ではなく、中国人と一緒に。 迷路のように複雑に入り組んでいる狭い小路には、唐突に流し台があ…

晴天のパンツ

今日の上海は晴れ。洗濯物もよく乾く。 なんなんだ、この街のコントラストは。

変わる街

森ビルが上海に立てた超高層ビルの「上海ヒルズ」が、いよいよ開業したというニュースがあった。この写真は、2年前にお隣のビルから見た施工中の様子。八角形の断面形状からも、ちょっと変わったフォルムであることが伺える。これに限らず、上海の高層ビル…

役割と意味の転換

数年前に韓国の観光地で見かけた歩道橋。なんだか違和感が色濃く漂っている。よく見ると、主塔やケーブルが全くの飾り物。おそらく、こういうことだったんだろう。 「ここの歩道橋は絵葉書になるような橋にしたいなぁ」「だったら、吊橋だよ」「でも、わざわ…

砂の杭

週末にサンドドレーン船を見て、半年ほど前にも同じような船を見た記憶が蘇ってきた。そこで、そのときの写真を引っ張り出して見比べてみた。よくよく見てみると、ディテールが異なっている。ネット上でイメージ検索してみると、こちらの方はどうやらサンド…

グッドデザイン

今日から3日間、東京ビッグサイトで開催されるGOOD DESIGN EXPO 2008に早速行ってきた。グッドデザイン賞のノミネート作品が一挙公開されるイベントだ。土木分野からは、首都高中央環状線の換気塔とか、代々木パーキングエリアとかが出展されていた。徐々に…

ヤバネ

北海道のとある田舎道。ここには本州ではあまり見られない道路作工物がある。車道の縁端部を示す赤白の矢印、通称・矢羽根(やばね)、正式名称・視線誘導柱。 もともとは除雪作業の範囲を示すためのものとしてどこかのメーカーが開発したものらしいが、結果…

壁に垂れる道

巨大なタンカーの甲板から海面に向かって吊り下げられているはしご。ところどころに突き出しているアウトリガーみたいな棒によって、くるくる回るのを防いでいるのだろう。プリミティブな工夫だけど、効果は高そう。ローテクはなごむね。

自信のある色

東関道と外環を結ぶ高谷ジャンクションの建設が、かなり進んでいる。いくつもの鋼箱桁が空中で交錯するわけだが、ずいぶん思い切った塗装色が使われている。高彩度の水色。自分だったら、怖くて使えない色だ。 かつて橋梁の色彩計画をいくつもやらせてもらっ…

ネズミのラブホ

首都高湾岸線の浦安近辺を走っていると、唐突に巨大なラブホテルが出現する。いまどきこんな装飾のラブホは珍しいなぁなんて思っていたら、ネズミの国の新しいホテルだった。 かの国の中で完結していれば、なんの違和感もない装飾だと思う。非日常の、魔法の…

S字鑑賞

春にリニューアルオープンした首都高の代々木PAに寄ってみた。 2Fの休憩スペースは、とても心地よい空間だと感じた。南側には大きな窓が設けられており、程よい開放感がある。そこからは、正面に明治神宮の森を、手前にダイナミックな線形の首都高4号線…

時間がかかる仕事

今日はとてもうれしいメールをいただいた。以前勤めていた会社の友人から、以前関わらせてもらった橋梁の架設現場の様子を、写真付きで送ってくれたのだ。うれしくて、何度も写真を見返してしまった。ちなみにこの写真は、橋桁の断面の様子。一風変わった断…

インフラの積層

御茶ノ水の聖橋から見える風景は、昔から好きだった。思い起こせば中学生の頃から御茶ノ水の楽器店と秋葉原の電気街を目当てに、このあたりをうろついていた。この風景は自分の中に、大都会のイメージとしてしっかり刻まれている。 当時は都市や地形やインフ…

建築的堤体

函館の水がめ、笹流ダム。コンクリートが貴重だった大正の頃、材料費を抑えるために、えらく手間がかかるバットレスという構造形式が用いられた。そのため、まるで建築物のファサードような独特の表情が生まれている。でも、もとの姿はそれぞれの部材が細く…

地味な水門

先月は東京にある陸閘のことに触れたが、自分が住んでいる地域にもあった。これまで何度も通った場所なのに、ぜんぜん気づかなかった。先日の工場クルーズのときに、同行者が目敏く発見してくださった。 この陸閘は、鉄道高架橋と樹林帯に挟まれた場所に、ひ…

工場クルーズ

昨日は千葉港を巡る遊覧船に乗った。この遊覧船から見える眺めは、基本的に工場しかない。食品工場のサイロや、石油工場のタンクや、羽田空港の滑走路や、製鉄所の原料ヤードやコークス工場なんかの絶景を、連続して鑑賞することができる。 船からの眺めのい…

都市の表皮

北海道産のメロンをいただいた。当然とてもおいしかったのだが、食べる前にメロンの表面をじっくり観察してみた。なぜなら、先日行われたフォーラムの中で、建築家の宮本佳明さんが「メロンの皮は都市計画道路に似ていて、筋はやっぱり直角に交差するように…

会議は短く

先日、僕も参加している音楽集団「トワイライトシステム」のミーティングに、久しぶりに同席した。お題は今後の活動における基本戦略について。いつものことだが、議題自体は最初の数分で終わり、あとはどうでもいい与太話になった。なにしろ、主要メンバー…

地下に架かる橋

にわかには信じがたいことだが、地下に架けられている歩道橋が六本木にある。昨年の今頃、偶然見つけた。先日も、六本木のAXISビルで行われたフォーラムが終わった後に、その直近にある不思議な構造物をあらためて見てきた。上空に首都高が架かる一般道…

自然なおさまり

過去にも何度か触れているが、高架下建築は面白い。つい先日、住宅都市整理公団総裁の大山さんがmixi内で立ち上げたコミュニティに、早くも200名を超える人が参加していることからも、その人気の高さが伺える。個人的には、土木と建築のせめぎ合いが滲み出し…

一段落

昨日、長い間取り組んできた仕事が、ようやく一段落した。しかし、まだ達成感は得られていない。自分の不甲斐なさへの悔しさと、多くの人にかけてしまった迷惑への反省と、長い道のりで蓄積した疲労のほうが、はるかに勝っている。 何はともあれ、応援してく…

茜色の鉄塊

工場景観の面白さのひとつには、時間による表情の変化があると思う。特に移り変わりの激しい夕暮れ時は、ボーッと眺めていても飽きることはない。いい具合に光を反射して、いい具合にシルエットを魅せてくれる。それが刻々と変化していく様は、なかなかグッ…

理由と都合

公共地下空間にはヘンテコな空間が結構存在する。たとえば、写真のようにちょっと下がってちょっと上がるといった具合に。もちろん、それらには原因があるのだろう。たとえば、地下鉄や共同溝などの移設できない埋設物がもともとあるとか。既存の埋設物の移…