はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2012-01-01から1年間の記事一覧

韓国橋梁ツアー

現在、韓国のソウルをスタートして海岸沿いを移動し、釜山にゴールするというツアーの途中、木浦という街にいる。かつて自分たちが関わってきた橋を巡るという主旨の旅である。 これまでのところ、デザインの意図を十分に取り入れて設計・施工がなされている…

『高架下建築鑑賞散歩』のお知らせ

「住宅都市整理公団」別棟:2012年11月10日(土)14:00から『高架下建築鑑賞散歩』やるよというわけで、大山さんの街歩きイベントをお手伝いさせていただきます。僕は解説者的役割を期待されているのかもしれないけど、参加者のみなさまと一緒になって興奮す…

イケメン高架

新東名は険しい地形を無理矢理ぶち抜いて道路を通しているので、必然的にトンネルと高架橋が連続している。そもそものお値段はどちらにしてもとてもお高いので、いろんなところで徹底的にコスト縮減が図られた。その影で泣いていた人は数知れない(僕も少し…

地形を無視する技術

先週末ははじめて新東名を通ってみた。こりゃ走りやすい道だね。もともと3車線を想定しているため幅員がやたら広いし、設計速度が高く設定されているので道路線形に全く破綻がない。舗装や照明などの保全レベルもすごく高いし、大断面のトンネルは圧迫感はな…

ロンドンのピアノ

まだロンドンオリンピックが開かれていた頃、三菱地所のTVCMが目に入るとそこにロンドンの街並みが映し出されていたので、「ああ懐かしいね」なんて知ったかぶり優越感をえらそうに振りまいてみた。これだから、にわか海外かぶれはイヤになるよね。 それはさ…

つづら折り

こんなつづら折りのスロープってどうよ、って話を書こうとしたんだけど、「つづら折り」の「つづら」って、「舌切りすずめ」に出てきたカゴのことなんじゃないのかとふと思い、どこがジグザグに上り下りするの要素なんだとすっかり言葉のゲシュタルト崩壊が…

ドデカブロック

ポートタワーの足下にずらりと並んでいたあの直立式消波ブロック「ワーロック」と同じものを、少しだけ離れた場所で直近から眺めることができた。なかなかボリューム感、そして無骨な威圧感。素敵だな。もう少しでゲーテアヌムのような力強すぎる造形に近づ…

デザイナーズ停留所

ドイツのヴァイル・アム・ラインにある建築家テーマパーク「ヴィトラ社工場」は、バス停までもがかっこいい。いかにもミニマルな形態や、金属とガラスの質感がたまらない。椅子はちゃんとイームズのワイヤーシェルチェアだし。このシェルターのために、わざ…

FBアルバム(欧州の構造家・建築家シリーズ)

データベースとしては極めて使いづらいフェイスブックのアルバム機能を利用し、欧州などで実際に見てきた構造物や建築物について、名前と場所と建設年を調べ、主な設計者ごとにまとめたものがようやく完成した。いやあ、長かった。 もともとは自分自身が整理…

浮かれ武甲山

ふと気がつくと、1泊2日で秩父方面のダムを巡ったゴールデンウィークから、もはや3ヶ月も経過している。すっかり老け込んでしまったのであろうか、このところの時間の流れの速さには驚くばかりである。いや、本当に驚くべきは、せっかく素敵なものをたく…

アリゾナ

なんだか今日はこのブログへのアクセス数が多いなあと思ったら、こちらの記事(デイリーポータルZ:広島空港の紅い橋を観に行く)で過去記事をご紹介いただいていた。紅い橋の違和感、魅力的だよねえ。 というわけで、感謝の気持ちを込めて成田空港の誘導灯…

ネガティブマウンド

このところ採石場ネタが続いているので、さらにもうひとつ。 先月札幌に出張に行った際、「石山緑地」という採石場の跡地を活用した公園に行ってきた。もう15年くらい前になると思うが、はじめて訪れたときには、すごく感激した記憶がある。特に露岩した切羽…

人工柱状節理

もしかすると「お、このブログで自然景観とは珍しいね!」と思う方がいらっしゃるかもしれないが、今回もちゃんとスーパースケールの人工景観の話である。写真中央の倒木が気になるけど、そこには触れない。 標高300mを越える山の頂部をよく見てみると、いか…

房総の荒々しさ

鋸南市の採石場がかっこいい。千葉にこんなキレのあるワイルドな眺めがあるなんて、これまで知らなかった。少し前に体験した採砂場に引き続き、またしても千葉を見直すことになった。こうしたネタをうまく編集して、房総産業景観ツアーをまじめに企画してみ…

整列コンクリート

千葉ポートタワーにはイベントやら取材やらで何度も行ったことがあるけれど、プライベートでお金を払って登ったのは、もしかすると今回がはじめてかもしれないな。先週末訪れたとき、展望フロアからの眺めには大興奮した。間違いなく入館料410円をはるかに上…

次元を越える理解

先週の土曜日、神保町にある建築系書店で有名な南洋堂で開催された「スリバチカフェ2」に行ってきた。『東京「スリバチ」地形散歩』に続く、『東京人8月号 特集:東京地形散歩』の出版記念イベントである。販売されている書籍やマニアパグッズは当然持ってい…

知覚の反転

最近、ガチガチに硬いはずのコンクリート製の消波ブロックが柔らかいものだと感じてしまうようになり、たいへん困っている。我が家のリビングに、大小7つの「テトぐるみ」が転がっているせいに違いない。あの形に対する自分の中のプロトタイプが、知らぬ間に…

ゆがんだ主塔

2006年に開催されたトリノ冬期オリンピックに際してつくられた歩道橋。鉄道とその車両基地を跨いで、選手村と地下鉄駅方面を結んでいる。縦にも横にも斜めに傾斜しているアーチ状の赤い主塔、吊っているんだかカウンターウェイトにしているんだかよくわから…

色のサンプリング

もともと僕にとって写真を撮ることは、対象となるモノや空間の様子を資料として記録するためである。フィルムカメラのころは、メカとしてのカメラは大好きだったものの、写真そのものは被写体が写っていればいいという程度の認識だった。 ここ10年ほどのデジ…

浅草の名所

少し前に浅草の仲見世通りに行ったのだけど、すれ違うのも難儀するほど国内外からの観光客でごった返していた。たしかに「江戸」の文化を体験するのにふさわしい場所だと思う。 しかし、そんな観光客のみなさまに声を大にして言いたい。江戸から続く「東京」…

高密度階段

有楽町マリオンは無限エスカレーターもすごいけど、階段室もすごい。思わずレッドツェッペリンの「天国への階段」が脳内を駆け巡ったのだが、よく考えるとこれは「階段の天国」だった。

汚れのデザイン

いよいよ梅雨の時期が来てしまった。昨年は海外逃亡していたので、極めて快適に過ごすことができたのだが、今年はあの不快感を避けられそうもない。かなりマイナーな気分ながらも、いつもの通勤路のそばに、梅雨らしい風情を醸し出す素敵な壁を見つけた。 階…

赤い灯台のタイル

室蘭港の防波堤の突端に赤い灯台がある。頭上の白鳥大橋、湾内の製鉄所、対岸の石油化学工場、目前を行き交う船舶など、見どころ満載の場所なので終始興奮していたのだが、灯台の壁面が全く予期せぬ素晴らしいもので、すっかり魅了されてしまった。 円筒と直…

非地下トンネル

室蘭インター近くにあるスノーシェルターって、すごく素敵。トンネルのふりをして、明るいんだもの。はじめて体験するときは、びっくりするよね。こちらは地中に潜る覚悟をしているのに、あれれと肩透かしを食らう。こうした認識のギャップって、楽しい。

東京は千葉でできている

僕が住んでいる千葉県は、東京ディズニーランドや東京ドイツ村があったりと、東京に媚びた卑屈さがあるように見える。しかし東京という大都市は、主に千葉でできているのだ。という事実をつい最近知った。どうやら千葉県民はこの事実をもう少し認識した方が…

リアル集中線

室蘭港の埠頭に野晒しで積まれていた、様々な太さの鋼棒。みっちり具合、鉄の重量感、自由な配置、錆のテクスチャー、一点集中のパース感、もうたまらない。港湾にはこうした無名の作品がたくさんあるので楽しいね。

贅沢な家

室蘭の白鳥台という新興住宅地からの眺望。白鳥大橋とJX日鉱日石エネルギー室蘭製油所のプラントの眺めをセットで見ることができる。 僕のような橋や工場の眺めが好きだという人にとっては、極めて贅沢な環境だよね。うらやましい。うっかり別荘としての可能…

ダム見の礼拝堂

ズントーあらためツムトアのテルメ・ヴァルスの上流に、Zervreila‎という素敵なダムがある。何が素敵って、つるんとしたコンクリートアーチの容姿も端正でかっこいいんだけど、ロケーションがまたいいんだよね。 ハイジとペーターがひょっこり出てきそうなス…

十字架アンカー

グラウンドアンカーとは、斜面の地滑りを抑止するため地中に鋼材を突っ込んでそれをググッと引っ張って地盤を強化する工法。道路やダムなんかでよく見るね。アンカーの頭部は各メーカーで異なる形状なので、バリエーションがかなり豊富。みっともないとか痛…

コークスと生肉とバレエ

先日有楽町に行ったとき、以前から観たかったドキュメンタリー映画「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」をレイトショーで観てきた(公式サイト←音出ます)。1年ほど前に、ベルリンに住む友人から教えてもらったトレーラーをYouTubeで観て、しびれたの…