はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2012-01-01から1年間の記事一覧

無限エスカレーター

新橋に行く用事のついでに、2年ほど前に開催されたエスカレーター好きで知られる田村さん主催のエスカレーターツアーで案内していただいた、有楽町マリオンにあるゴージャス系エスカレーターの金字塔を再訪してきた。 やっぱりすごいな、ここは。無限に続く…

写実絵画としての郊外

先週末、びっくりキャンチレバーで有名な写実絵画専門のホキ美術館で行われた「建物探検セミナー」に参加させていただいた。欧州滞在時にガイドツアーに参加する機会を何度も得たが、やはり日本語での解説はいいね。細かいところまですごくよくわかったよ。 …

肥大化した蚊

工業デザインを勉強していた学生の頃、2年次の立体造形の授業だったと思うが「ワイヤー・スカルプチャー」という課題があった。線材である針金を用いて、立体である昆虫を表現せよというものである。この題材として僕は「蚊」を選んだ。そして小さな蚊を捕ま…

コピー・アンド・ペーソス

中国のコピー問題が世間を賑わせて久しいが、劣化したミッキーマウスやドラえもんがいたテーマパークは、すでに入場者数も劣化が顕著らしい。市民の文化水準が急速に発達して価値観も変化してきていることや、中国政府も本腰を入れて知財問題に取り組みはじ…

ネタかぶり

先日の日本橋川や神田川を巡ったクルーズでは、案の定上空に架かる首都高高架の乱暴で強引な眺めにうっとり見とれた。おおこの落橋防止装置はやばいぞ、さっそくブログにアップしなければ、などと興奮しながらこの写真を撮ったわけだが、なんと同じものを陸…

ツボな映像

5年ほど前、フォトグラファーでライターで住宅都市整理公団総裁である大山さんにエドワード・バーティンスキーというカナダ人写真家の存在を教えてもらい、写真集を購入した。かなり衝撃的な写真だらけで、すっかりしびれた。ドボク的風景が気になるという…

硬い造形

ベルギーのKortrijkという街にLaurent Neyが手がけたcollege橋を見に行ったとき、その隣に架かっている桁橋が気になったので近寄ってみた。直線的な造形はやりすぎなくらい硬質感がある。極端に裾広がりの橋脚は、河川の高水敷だったら成立しないフォルム。…

直接的壁面緑化

これほど屈託のないカラーリングや奔放なパイプさばきは、一周回って清々しい気分になるね。

御茶ノ水キャニオン

先週末、BPA(ボート・ピープル・アソシエーション)のクルーズ企画「東京花見クルーズ2012」に参加させていただいた。日本橋川、神田川、隅田川、小名木川をめぐる都市内河川おなかいっぱい堪能コースだ。これまでいろんな場所で頻繁に船に乗っている僕なん…

リピート

同じものが繰り返されるってことに大きな魅力を感じる。それは宗教音楽やテクノから受ける印象によく似ている。たとえば、繰り返される旋律、淡々とした音色、規則正しいリズム、単調な構成。こうした要素が、覚醒や恍惚や高揚といったいわゆるトランス状態…

ツムトアさん

ここ数日、ツイッターのタイムライン上に「ペーター・ツムトア」という人物が頻繁に登場している。だれそれ?と不審に思っていたのだが、スイス人建築家の「Peter Zumthor」、つまり「ピーター・ズントー」のことらしい。みすず書房から5月に出版される「建…

スマートな使い方

狭い路地ばかりのローマでは、ええっ?!と思うほどsmartが活躍している。もはや縦列駐車ですらないのだな。これはsmartの正しい使い方だと思う。

バケットホイールエクスカベータまとめ

このブログへのアクセス解析のページをときどき眺めると、マニアックな検索ワードでたどり着いてくださる方が多いなあと感じる。このブログのコンテンツが一般的とは言い難いことはさすがに自覚しているので、こうした傾向はネットの海の向こう側に同胞がい…

パスタ形態解析

イタリアには500種類以上のパスタがあるらしいね。しかもたいていうまいんだよな。それだけでイタリア人はえらいと思う。たしかに彼らはいい加減でルーズな気質なのでイラッとすることもあるけど、おいしい食事で笑顔になれるので全く問題ない。 ミラノのこ…

フーチング

ダムの堤体を地盤に定着させる部分を「フーチング」と呼ぶ。その多くは階段状になっており、堤体のマッシブなコンクリート面や岩盤の有機的なテクスチャーとのコントラストが面白く、個人的にはとても好きな部位のひとつである。 橋脚や擁壁などでも基礎の地…

水中と空中と地中のあいだ

先日、宮ヶ瀬ダムの点検に同行する機会をいただき、奇跡の空間を体験させていただいた。宮ヶ瀬ダムとは、神奈川県を流れる相模川水系中津川にあり、堤高156m、堤頂長約400mという首都圏最大の重力式コンクリートダムだ。 今回訪れたのは、堤体のてっぺんにあ…

ヴェネツィアの顔

ヴェネツィアの細い路地を歩いていると、視線を感じた。振り返ると、そこには石版でできた呼び鈴が。このようなレイアウトは、確実に人の顔に見えてしまうよね。一度そう思ってしまうと、ヴェネツィアはそんな人たちだらけなことに気付く(FBアルバム:ヴェ…

信じがたい調和

たまには普通の観光情報を。 イタリアのリグーリア海岸にあるリオマッジョーレという村は、色とりどりの家が急斜面にびっしり貼り付いる。その混沌は不思議な調和を生み出し、現実感がない風景の中に身を投じることが出来る。 この村の路地は、車はもちろん…

毒虫の部屋

先日紹介したオランダ空撮写真集「nlxl」に出会ったアムステルダムのホテルの話は、すでにブログに記載したはずだよなーと思ってごそごそ探したのだけど、どうやら書いていなかったようだ。もはや欧州紀行の記憶が混乱しはじめていて、とても焦る。 「LLOYD …

人工の大地の写真集

オランダで暮らし始めて10ヶ月ほど経ったとき、少年院を改装したというなんともオランダらしいホテルに宿泊した。面白いリノベーションが施された内部をじっくり散策していると、図書コーナーのテーブルの上に置かれていたばかでかい写真集に目が釘付けにな…

データベース作成中

オランダとイタリアで、立て続けに欧州で生活する機会を与えていただいたことで、ここぞとばかりに昔から憧れていた土木構造物やら建築物やらを実際に体験してきた。実感としては、20年分のサーベイを一気にやった感じ。もちろん楽しかったわけだが、行って…

魅惑のP

そりゃもちろんこちらの彼女のようにゴージャスに着飾ったセレブ美人もうっかり見とれてしまうんだけど、少し近寄りがたいよねえ。個人的には、ぱっと見は大人しくて地味で自分を演出することが苦手な人の方がずっと心惹かれる。たしかにクラスの人気者では…

超現実シティ

ローマ近郊にムッソリーニの肝いりで1930年代に開発されたエウル(EUR, Esposizione Universale Roma)という地区がある。その名の通り、ここでローマ万国博覧会を開催する予定だったが、第二次世界大戦のために中止になったという。気合いを入れてつくった…

首都高バスクルーズ

先週末の土曜日は、首都高速道路株式会社が主催する「スカイバスで行く首都高スペシャルトンネルバスツアー&首都高社員ここだけのトンネル話パーティー」に参加させていただいた。内容はやたら長いタイトル通りで、屋根なし2階建ての「スカイバス」で首都高…

思い込みへの反省

ごめんなさい、本当にごめんなさい。 少し前までル・コルビュジエさんのこと、フランス生まれだと思い込んでいました。スイス生まれだったのですね。無知への恥ずかしさもさることながら、間違った情報を人様に伝えてしまったことを深く深く反省しております…

ミラノの玄関

ミラノはファッションやデザインの街として名高い。でも、空の玄関口であるマルペンサ空港に架かる斜張橋は、びっくりするほど鈍くさい。いろいろと腐心している形跡はあるのだが、いかんせん構造フォルムが不格好なのだ。 最初にこの空港に降り立って街に向…

イタリア雑感

ミラノに来てから2ヶ月が経ち、いよいよ明日が帰国日となった。一昨年の10月から1年間、オランダのアイントホーフェンで暮らして海外生活に慣れたこともあり、仕事や生活で大きなトラブルもなく、とてもスムーズだったと言える。まあ仕事とは言っても日本に…

近代技術の敗北

海上都市・ヴェネツィアから車で高速道路を1時間ほど北上すると、もうそこはアルプスの山の中である。しばらく車を走らせてロンガローネという村で右折し、山道をぐんぐん上ってトンネルを抜けると、ヴァイオントダム(Diga del Vajont)という「廃ダム」に…

ヴェネツィアの赤いアーチ

ヴェネツィアのカナルグランデを跨ぐ4つめの橋は、2008年に架けられたばかり。鉄道と道路のそれぞれの玄関口であるサンタルチア駅とローマ広場を結ぶという極めて重要な位置にある。設計はご存じカラトラバ。 僕の中でカラトラバは空気が読めない、もしくは…

スカルパの橋

ヴェローナという街に行った際に、カステルヴェッキオという古城を改修した市立美術館に立ち寄った。これが予想をはるかに超えた素晴らしい美術館で、とても大きな衝撃を受けた。動線の構成や作品の引き立て方が素晴らしく、素材を巧みに活かした繊細で丁寧…