はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

赤い灯台のタイル


室蘭港の防波堤の突端に赤い灯台がある。頭上の白鳥大橋、湾内の製鉄所、対岸の石油化学工場、目前を行き交う船舶など、見どころ満載の場所なので終始興奮していたのだが、灯台の壁面が全く予期せぬ素晴らしいもので、すっかり魅了されてしまった。
円筒と直方体で構成されている灯台の表面には、小さな正方形の赤いタイルがびっしり貼られている。パッチワーク状に濃い赤のタイルが貼られており、矩形の力強い図像が浮かび上がってくる。背景の部分はところどころこすれたように色が落ちて白くなっていて、透明感や奥行き感を感じさせる。さらにご丁寧に写真右下の部分がわずかに剥離しており、色と素材の違いによって赤タイルの艶っぽさを強調している。
極めて抽象度の高いモザイクアートってことなんだろうね。こんな作品がほとんど人の目に触れない状態で常に厳しい風雨を堪え忍んでいるなんて、素敵すぎる。