はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

私的ドボク大賞2025

いよいよ終わろうとしている本年も、世界でも日本国内でもいろんなことがあったね。不穏な空気が社会全体を覆っていたが、ミャクミャクやドジャースの大谷さんたちの活躍がそれをどうにか払拭してくれていた印象だ。その一方で個人的には、近年の中ではようやく順調に手応えを感じられた一年になったように捉えている。自分の身体を使ってなにかを実践することを通じて、これまで取り組んできたことがゆっくりと統合されていき、やるべきことがぼんやり見えてきたような、そんな気分だ。それはブログの投稿頻度の増加と安定にもしっかり反映されている。

そんなわけで、歳末恒例行事『私的ドボク大賞』を実施しよう。この賞は僕がその年に体験したドボク的ネタを振り返り、僕が感激したものを自薦して、僕が選考・表彰するという、誰の共感も求めない自作自演のアワードだ。今回は第17回大会。

選考の手順は、自分の写真フォルダやブログを時系列で振り返り、気になったものをXに投稿し、その中からノミネート作品をピックアップする。その後に、最終選考を行うというもの。こうすることで、より俯瞰的に自分自身の振り返りを実行する。ちなみに、ポストした候補作品は以下のリンクにまとめている。

というわけで、まずは18候補の中から8つに絞られたノミネート作品の紹介だ。果たして、どれが大賞に選ばれるのだろうか。簡単なレビューとともに概観しよう。

1.港珠澳大橋
昨年末の香港・マカオ旅行の帰り道にバスで通過した、とてつもないスケールのメガストラクチャー『港珠澳大橋』。いろんな意味で中国の凄みを感じた。また、オランダ旅行からの帰り道では、その姿を上空から拝むことができた。

2.新阿蘇大橋
出張に併せて、熊本地震の被災地である旧阿蘇大橋とともに、復興の象徴的存在の『新阿蘇大橋』を見に行った。その風景は橋の成り立ちを雄弁に物語っていた。震災のことだけでなく、橋の見方についてもあらためて学ぶことができた。

3.通潤橋
土木構造物で初の国宝に指定された『通潤橋』を取材で訪れた。水源がない台地を潤すための農業用水施設として、九州の豊かな石橋文化を背景につくられた見事な水路橋。現地の方々へのヒアリング調査なども含めて、極めて充実した体験になった。

4.明石海峡大橋
かつて世界一の中央支間長を誇っていた超長大吊橋『明石海峡大橋』。昨年に引き続いてノミネート。痛風の発作に見舞われながら、橋のたもとで講演を行った後にまち歩きワークショップを強行して症状を悪化させてしまったことは、今となってはいい思い出。

5.デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン
ロッテルダムにある美術館の改修工事に伴いつくられた「見せる収蔵庫」。屋上に森があるミラー貼りのお椀というわけがわからない外観と、美術鑑賞とは次元が異なる「管理」という面で切り取られた展示体験には、テンションがうっかり爆上がってしまった。

6.ハイ・ウォーター・チャンネル・ベッセン=ワーペンフェルト
オランダのルーム・フォー・ザ・リバー関連の中で最大級のプロジェクト。円弧を描く連続水門は圧巻。写真では伝わらないスケール感は、空間の体験によってようやく理解に至った。それはオランダの国土を認識するための強力な手がかりとなる。

7.ルーム・フォー・ザ・ワール・ナイメーヘン
ナイメーヘンで展開されているルーム・フォー・ザ・リバー・プロジェクトは、堤防の後退、バイパス流路の掘削、レクリエーション空間の創出、自然環境の創出と保全、ユニークな橋梁整備などが複合的に実施されたもの。実現に至ったことが奇跡のように感じられるプロジェクト。

8.柳川の掘割
近代化の波を乗り越えて維持されている『柳川の堀割』を、取材で訪問した。古代から積み重ねられて維持されてきた水環境の背後に、この土地に根ざした共同体意識があることに感動した。それはまるで同じ低湿地のオランダのように。
※いずれ本ブログに書かねば… 【追記:2026.1.3】早速書きました…

 

さて、この8作品の中から今年の『私的ドボク大賞』を決定すべく、厳正に最終審査を行おう。

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じゃじゃーん、今年の私的ドボク大賞は『ルーム・フォー・ザ・ワール・ナイメーヘン』に決定だっ!!

いくつもの面白い橋梁などの構造物は、それぞれが単体としても表彰に値するもの。それらをまとめてしまうのはどうかと思いつつも、まとめて捉えた方がしっくりくる複合プロジェクトだ。地理地形に起因するオランダの風土を理解する上で、このプロジェクトで生み出された風景を体験したことは、本当に意義深いよなあとあらためて感じた。「世界は神がつくったが、オランダはオランダ人がつくった」という言葉が、本当のことだと実感するね。僕の中の選考委員会は、最終的に満場一致で決定に至った。

 

僕自身が今年、前向きな気持ちで活動できるようになったことは、2月からはじめたジムでの筋トレを通じて自分の身体が意識できるようになったことや、9月に10年ぶりに訪れたオランダで自分の一部を再認識できたことが背景にあるのだろう。そしてなにより、「ほどよく手を抜く」「周囲に迷惑をかける自分を許容する」というコスパ感覚が身に付いてきたことも効いているように思う。この調子で、これからも自分に甘く生きていきたいね。

そんなわけで、来年も引き続きよろしくお願いします。どうぞよいお年を。