はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

頭でっかち


すでにミラノのゴージャスさ加減にお腹いっぱいになってきているのだけど、頻繁に隙を見せて息継ぎをさせてくれるのがミラノのいいところ。こういう体験はパリでは得られなかったな。パリにはうんざりするほど打ちのめされたから。
たとえば、とんでもなくこってりしたゴシック教会「ドゥオモ」の屋上からみたミラノの街並みは、雑然としていて安心する。東京と同じように、鳥の視線など意識していないことがはっきり感じ取れる。まだ行ったことはないが、ここらへんはフィレンツェとはだいぶ違うんだろうな。
その中でもひときわ目を引くのが、ベラスカの塔「Torre Velasca」。オフィスと住宅の複合建築とのこと。どう見てもおかしなプロポーションと豊かなディテールにより、ひときわ異様な存在感を放っている。森ビルだったかの高級タワーマンションのような超合法建築かと思いきや、やりたかったからこうしたもののようだ。中世の物見の塔を巨大化させたものなのか、炭鉱の竪坑櫓を近代ビルとして解釈し直したものなのか、ディズニーシーのアトラクションをパクったものなのか。1958年竣工というから、大きくくくればポストモダンの先駆けという位置付けなのだろうね。
ともかく、周辺の環境にはまったく溶け込んでいない。まあ周辺のカオスをさらに強化するという考え方なのかもしれないが。イタリア人のことは、まだよくわからない。