交通手段の速度が上がるにつれて、道路は必然的に人の生活との関わり合いが減っていく。両者の時間と空間のスケールは、どうしても乖離する方向に行くからね。ところが、関わり合いをなくす努力をした結果、一周回って高速道路を人の生活に取り込んじゃったのが大橋ジャンクションだ。見た目にもグルグルしているけど、意味合いもグルグルしているのだ。
ヒューマンスケールに則った人のための空間が、自動車のための空間の上に重ねられたことが象徴的だよね。これは、約70mもの高低差がある高速道路同士の接続をこれ以上どうにもならないくらいコンパクトに凝縮された上に、騒音や排気ガスといった悪影響を最小化するために「覆蓋化」されたことで実現した。東京という高密度都市ならではのアクロバティックな解き方だよねえ。まあそれでも構造物の存在感は、尋常ではない強さなんだけど。
先日、写真家の空撮に同行させていただくというたいへんラッキーな状況で、空中から空中庭園の様子を眺めることができた。極めて楽しい体験だったよ。上の写真の右側はセスナ機のパイロットの後頭部、左側はシートのヘッドレストである。このように何度も大きく旋回したこともあり、体にかかった負担は予想を遙かに上回るものであり、この後の数日間はボロボロの状態だったな。